思い入れのあるもの。

「思い入れのあるもの。」

ふと、自分にとってはなんだろうと考えてみた。
最近、「思い入れものあるもの、大切なもの」を利用して家具にできないかという
お問い合わせやご注文をいただくことが続いた。家具のリメイク。
そこには、それぞれの思いや物語があるのだろうと思う。
新しく既製品を買うのではなく、思い入れもあるもので家具を新たにつくる。
想像すると感慨深いものがある。
このような仕事の依頼をいただけることは、わたしたち作り手にとって嬉しいことだ。
使われている方が「大切にしているもの」を形にするー新しく家具をつくることはまた別の
難しさはあるけれど、このような仕事も大切にしていきたいと思います。
kumiko

新しい仲間

12月25日。
本日、わたしたちの仲間が増えました。
どんな仲間がいいか、1年ほど前からずっと考えていました。

よく働いてくれる動きのいいやつか。

ちょっと動きは遅いかもしれないけれど、味のあるやつか。

そして、先日私たちは彼を仲間にすることに決めたのです。
紹介します。。。

       

本日、はるばる名古屋から私たちと一緒に、ここ横浜まで来たのです。
ご機嫌がよかったようで、なんの問題もなく快調に楽しい旅をさせていただきました。
これから先、いつも私たちと一緒にいる心強い仲間です。
2015年から本格的に仲間入り。どうぞよろしくお願いいたします☆

kumiko

 

ラウテンクラヴィーア演奏会

 先日、近所のカフェ&ギャラリー寺家スタジオで行われたラウテンクラヴィーアの演奏会に行ってきた。奏者はチェンバロ演奏家で、製作者でもある山田貢先生だ。

ラウテンクラヴィーアは、リュートの響鳴体を持つガット弦のチェンバロで、バッハも愛用していたというが現存する楽器はなく、僅かな資料が残るだけの幻の楽器だという。80歳になる山田先生は長年僅かな資料からこの楽器を研究され、自ら復元し、演奏をしているラウテンクラヴィーア研究の第一人者だ。

もともとは、先生が散歩の途中、たまたま僕たちの工房に立ち寄っていただいたことがきっかけで知り合った。いろいろなお話を聞かせていただくうちに、その物語の世界から飛び出してきたような、どことなく空想的な佇まいにすっかり魅せられていた。

チェンバロ
チェンバロを囲むように椅子が配置された会場はとてもあたたかな雰囲気に包まれていた。それにしてもこんなにチェンバロが似合う演奏家が他にいるだろうか。山田先生ご自身の世界観がチェンバロのもつそれとぴったりあっている。それはバロック時代を思わせるとかそういうことではなく、現代において、この場所で、とても自然に調和している。
音楽にとって(音楽に限らず全ての表現においてかもしれないけれど)一番大切なのは世界観だと思う。どんなにテクニックのある演奏でも世界観がなければそれはただ正確な音の羅列に過ぎず、全く心に響いてはこない。
二時間ほど、山田先生のあたたかな世界にとっぷりと浸って、充ち足りた気持ちで工房に帰る。一歩間違えばすれ違うことすらなかったかもしれない。偶然の積み重ねの途中で思いがけず出会えたことがとてつもなく幸運なことに感じる。
takashi

ゆうゆう散歩

先日、half moon furnitureがテレビ番組で取り上げていただけることになり、撮影があった。
出演させていただくのは「若大将のゆうゆう散歩」という番組で、加山雄三さんがhalf moonの工房に来ての撮影となった。

撮影の中での加山さんのお話でとても印象に残っているものがある。子供時代、茅ヶ崎海岸沖に見える烏帽子岩までどうしても行ってみたかったという。あそこまでいくには船がいる。それならばと早速模型作りから始め、試行錯誤を繰り返しながら船作りを始めたのだそうだ。それが今の加山さんの船舶設計の原点だという。
やりたいことがあって、必要なものがある。持っていないから自分で作る。極めて自然で、純粋なものづくりの衝動だと思った。
takashi

小学生たち

僕たちの工房に小学生たちがやってきた。

先月の寺家回廊の時に近所の小学校の先生が見えていたそうで、後日ご連絡をいただき、二年生の「町探検」というプログラムで子供たちを工房に連れてきたいとのご相談をいただいた。
家具工房、陶芸作家さん、パン屋さん等、様々な候補地から子供たちが行ってみたい場所をそれぞれ選んで訪ね、普段なかなか触れ合う機会のない職業の人達と交流するというものだそうだ。
子供のうちからさまざまな価値観で生きている人達と触れ合うことはとても有意義なことだと思う。僕は特に、ものづくりの場が子供たちにとってもっと身近なものになるといいな、と常々思っているので喜んで引き受けることにした。
今回、half moonを選んでくれた子供は10人。(全ての候補地で一番多かったらしい。それだけでもうれしい。)さっきまで静かだった工房に子供たちの元気な声が響き渡る。中には半袖、半ズボン姿の子もいた。そんな姿になんだか安心する。
子供たちは普段見慣れない木工機械に興味津々。実際に機械を回して加工してみせると大興奮。
機械で切った小さな木片をみんなに上げると大喜び。
「どうする?帰ったらみんなに自慢する?内緒にしておこうか。」
なんて相談していた。
材料としてのザラザラの木、家具になってツルツルに仕上げたもの。それぞれ触らせてあげると
「これがこんなになるんだ! 気持ちいい。」
みんなで仕上がった家具にしがみついていた。
物があふれていて、必要なものを自分で作るという機会が極端に少なくなった今の時代、大人であっても、人の手で材料が加工され物が作られているということをきちんと想像できる人は少なくなっているのではないかと思う。
最後に昨日たまたま工房の軒から取った蜂の巣を見せる。気持ち悪がるかなと思ったけど、全然そんなことはない。みんな手にとって観察していた。
30分ぐらいの予定がいつの間にか1時間近く経っていた。
帰り際、誰かが言った。
「half moonに来てよかった!」
なんて嬉しい言葉だろう。
僕たちにとっても新鮮で、楽しい時間になった。
今思い出しても温かい気持ちになる。
takashi

サイドボード

展示用家具として「サイドボード」を製作しました。

サイドボード

本体はウォールナットの無垢材にオイル仕上。引戸は「土+漆喰」を左官の技法をもちいて塗っています。
「沖縄の白土+中錆土」と漆喰を混ぜ合わせ、コテで平坦に仕上げています。
ウォールナットの家具

ウォールナット。土の白。
それぞれ自然のままの色のためか、全体として調和のとれたやわらかい雰囲気のサイドボードとなっています。古き良き日本文化「つちかべ」を家具の一部に取り入れることで、どこか和の雰囲気を感じていただければと思います。

和にも洋にも合う新作サイドボード。

工房に展示品がありますので、実物をご覧頂けます。
新作サイドボード
W1800xD400xH690 ¥285,000(税別)

kumiko

「寺家回廊」ありがとうございました

 
家具工房
寺家回廊にお越しいただきまして、ありがとうございました。
今年もたくさんの方々とお話でき、とても充実した楽しい3日間でした。

10月より第4日曜日は工房をオープンしていますので、お気軽にお越しいただき

小物や家具をご覧頂ければと思います。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。

HALFMOON FURNITURE WORKSHOP
小栗 崇/久美子

AVボード

AVボードのご注文を頂き、製作した。
お客様のお宅は暖炉のある重厚な作りで、リビングの大きな窓の外では芝生の庭を子供たちが走り回っていた。

何度か打ち合わせを重ね、収納する機器、配線経路等をお伺いして全てのものがきちんと収まるように設計する。

重厚なお宅の雰囲気に合わせて本体は全てナラ無垢材、扉はルーバーの引き戸、さらに中央にはセンタースピーカーを収納するとのことだったので、AVボードそのものにスピーカーネットを取り付け、家具の一部がスピーカーになっているようなデザインにした。

ナラ AVボード

ナラ AVボード

ナラ AVボード

納品して、お客様と一緒に機器を収納、配線してゆく。のんびり雑談しながらの作業がなんだか新鮮で楽しい。一時間ほどで無事全ての機器が収まった。家具は部屋の雰囲気にもしっくり馴染んでいて、あるべきところに来たのだと安心する。

takashi
 

虫たち

工房で作業していると、
「こんなところで何をしているんだい。」「おっ、なんだこいつは。」
とわたしの旦那さん-takashi がなにか小さなものに話しかけている光景をよく目にする。
その視線の先にいるのは「昆虫」だ。
 
ときどき、いや毎日わたしたちの工房にはいろいろな種類の虫たちが遊びにくる。
 
まるで葉っぱではないかと思うような虫。
とっても小さいカマキリのこども。など。
珍しい虫がくると、そっとカメラを取り出し、2人で仕事も忘れて観察する。
小さな体からでてくる「生命の力」。その不思議な世界に引き込まれていく。
 
小カマキリに会ったときなんか、takashiは「かわいい。かわいい。ちっちゃくてもカマキリの形だよ。」なんて興奮して、じっと見つめている。

まるで葉っぱに見える虫。
製作中の家具の上に突然現れた、8mmほどの大きさのカマキリ。
先日、古本屋で2冊の本を見つけた。
「昆虫読本」「日本昆虫記」
昭和16年発行だから、もう75年以上前の古い本である。
古い本を片手に楽しそうに読んでいるtakashi。
「蝶の蛹(さなぎ)は、木の上にあるものは緑色に、板塀にあるものは茶色、石の上にあるものは灰色になるんだって。」
外敵から身を守る生命の力。
これから、益々この魅力に引き込まれていきそうだ。
kumiko

本のための家

横浜青葉区の閑静な住宅街に夢のような建物が完成した。
住宅の庭に現れたその建物は、植本計画デザインの設計による「本のための家」だ。

本棚の家

この家の建設にあたって、約14mの壁面いっぱい、天井まで広がる全ての本棚の製作をご依頼頂いた。このお話をいただいたとき、製作した本棚が全て工房に入りきるだろうか、作ったはいいけれど工房から出せなかったりして、などと危惧しつつもわくわくした。
本棚には可動棚が入るのが一般的だ。しかし今回は、「入れる本は全て決まっているので棚板を動かすことはない。棚板は全て固定で良い。」とのことだった。
そうだよな、それでこそ特注だよなあなどと思いながら、本がびっしりと並ぶところを想像していると楽しくなった。僕が本を並べるわけではないのだけれど。。
工房は14m分の本棚で埋め尽くされながらも全て無事完成し、搬入、取付も順調に進んだ。前後二層のスライド本棚の動きも問題ない。
本棚
本棚
本棚
それにしても、なんて贅沢な空間だろう。家の中の一部屋を書庫にすることとも全然違う、自分専用の書斎を持つこととも違う、開放的に区切られることで生まれた「夢の空間」。
ここに流れる豊かな日常の時間を想うとわくわくする。
takashi

屋外用ローテーブル

納品翌日、お客様から電話が入った。

何か問題があったかな、と少しドキドキしながら出てみると、
「あのテーブル、二階の窓から見てもとってもいい感じよ!」
そのことを伝えるためにわざわざ電話をくれたのだった。なんと温かい心づかいだろう。
テラスで過ごす時間のお供にと、ご注文頂いた屋外用ローテーブル。ステンレスのフレームにタイル張りの天板という木を全く使わないデザインで、僕たちにとっても初めての試みとなった。

屋外用ローテーブル
屋外用ローテーブル

先日、テラスでのバーベキューにご招待いただいたとき、ご家族やご友人たちとともに炭火で焼いた贅沢な食材を楽しみ、心地よい午後の時間を満喫しながら、大勢の人たちの中でビールのグラスなど乗せたローテーブルの姿を見てなんともうれしい気持ちになった。
屋外用ローテーブル
takashi

久しぶりの、、、

随分久しぶりの更新になってしまった。

という書き出しだけはしないと決めていたのに、こう書かないわけにはいかないほど長く明けてしまった。
先日、いつも良くしていただいているお客様から電話を頂いた。
あまりに長い間ブログが更新されていないので、僕が入院でもしたのではないかと心配していたとのことだった。大変申し訳ない気持ちになる一方、いつもこのブログを見てくださって、気にかけていただいていたということがとても嬉しかった。
この二ヶ月間、夜中まで工房で作業する日々が続き、空が白み、鳥が声が聞こえ始める頃にようやくベッドに入るという日も何度もあった。
工房の周りの田んぼの緑は日々深くなり、夜には蛍が飛び交った。それもいつの間にかいなくなり、池のほうから響くウシガエルの太い声が次第に大きくなってきているように感じる。
製作はそれぞれお客様の想いの詰まった印象深いもので、とても充実した日々だった。
さかのぼる形になってしまうけれど、追って一つずつ紹介させていただきます。
takashi