
w1700 x d1000 x h720 アメリカンチェリー無垢材
アメリカ人のお客様からご自宅オフィス用に大きなデスクのご依頼をいただいた。
もともとは2019年に内装を手掛けさせていただいたblue door coffeeたまプラーザ店にオープン当初から頻繁に通っていて、その内装を気に入っていただいたとのことでご自宅の新築に際して声をかけていただいた。
ご要望は、日々の仕事にストレス無く使える十分な広さと"unique"さだった。
誰のためでもない自分だけの特別なデスク。初めてお会いした時からとても期待していただいているのが伝わってきた。
一人で使うことを考えて、全体が柔らかく自分の方を向くように、全てを扇型に配置するデザインで提案させていただいた。
最初の案では天板部分を扇型の箱として作り、その妻手側から湾曲した隠し引き出しが出てくるという仕掛けを考えていた。

この案も気に入っていただいていたけれど、予算的にもう少し抑えるために隠し引き出しは諦めて、扇型の配置は残しながら無垢の風合いを活かす方向に整理していった。
アメリカンチェリー無垢材の天板と旋盤で丸く削った4本の脚。それをつなぐフレームは全て天板の曲率に合わせて湾曲させる。引出しの前板も天板に合わせて曲面に削り出す。

板を曲面に削り出す場合、材をどういう向きで使うかによって木目の出方が全く違う。木の家具にとって木目の使い方はそのデザインにとても大きな影響を与える。その使い方を間違えればせっかくの家具を台無しにしてしまうこともある。そこまでコントロールできるのが一点一点手で作ることの大きな強みだと考えている。そこを考えながら木をよく見て、より良い木目を出すように作るのはとても楽しいことでもある。

最初にご相談をいただいてから完成まで1年弱。気がつけばその間にやりとりしたメールは30通を超えていた。
納品した時にとても喜んでいただけたことはもちろん、後日奥様から「彼は嬉しくて、みんなに自慢してるんですよ。」と聞いた時は本当に良かったと思った。日々の暮らしの中でそのものと向き合った時に少しでも嬉しくなるようなものを作っていきたいと考えている。
takashi