バンドネオン ディスプレイ棚

楽器ディスプレイ棚 

自分たちの作った家具を背に早川純さんたちが演奏しているなんて、とても不思議な感じだった。

バンドネオンとアコーディオンの修理、メンテナンスを行っているBellows Works Tokyoさんから楽器ディスプレイ棚のご相談をいただいた時、真っ先に思い浮かべたのがバンドネオン奏者の早川純さんだった。もちろん、その時はまさか早川さんがBellows Works Tokyoさんで楽器のメンテナンスをしているなどとは考えもしなかったけれど。

Bellows Works Tokyoさんが、店内の改装計画として楽器ディスプレイ用の棚の設置を検討されている中で、以前僕たちが製作したガラスショーケースの事例をご覧いただいたとのことでお問い合わせをいただいた。

これまで工房的な要素が強かったBellows Works Tokyoさんが、今後楽器の販売やライブイベントなどにも力を入れていこうというタイミングでのご相談だった。

初めて打ち合わせに伺った時、店主の原田さんはとても丁寧に楽器の説明をしてくれた上で、静かにその計画を話してくれた。

当初は以前製作したショーケースのような置き家具としてのディスプレイ棚を3台ほどお店の中に点在させようというプランで進めていたけれど、店内改装の計画が進むうちに壁面全体をディスプレイ棚として作り、楽器をずらりと展示できるようにしようということになった。

イメージが実際の形になって目の前に立ち上がってゆく時、それはとてもワクワクする瞬間だと思う。完成した家具を搬入し、組み上げてゆく作業を後ろで眺めていた原田さんからそんな気配を感じて、とても嬉しくなった。壁面一杯に家具が組み上がり、取付作業が完了したのは夕方頃だった。試しに何台か楽器を並べてみようと、始めたディスプレイが止まらなくなって、次々楽器を持ってきては並べていく原田さんの姿がとても印象的だった。そして楽器が入り、その役目を果たし始め、生き生きとしてくる家具の姿に安堵する。

ディスプレイ棚 ウォールナット

それからしばらくして、新型コロナウィルスの蔓延によって、特に音楽業界はとても不自由な状況に突入してしまい、ライブイベントなども今までのようにはできない状態が長引いている。そんな中、Bellows Works Tokyoさんでは「Bellows shake concert」と銘打った配信ライブイベントをスタートし、継続されている。それは活動の機会が極端に減ってしまった音楽家の方々にとってもとても刺激的な場であると思うし、生の音楽に触れる機会が減り欲求不満気味の音楽ファンにとっても嬉しい企画だと思う。

その記念すべきVol.1の出演が僕の好きなバンドネオン奏者早川純さんがアコーディオンの佐藤芳明さん、バンドネオンの鈴木崇朗さんとの3人編成で活動している「JavaLab」だった。

初めて体験したオンラインでの配信ライブ。JavaLabの演奏が素晴らしかったこともあって、想像していた以上にライブ感があり、とても楽しい時間だった。アーカイブで見返せるのも良い。しかもそれが僕たちの作った家具を背に行われていたことも。とても印象深い経験をさせていただいた。

(僕がこの記事を書くのにもたもたしているうちに、いつの間にかこの日からすでに一年以上経っていた。。Bellows Works Tokyoさんでは、その後も様々な音楽家を迎えてBellows shake concertを継続されている。 )

takashi