予定時間をだいぶ過ぎて「湯ノ里デスク」を後にして、及川肇さん、かをりさんご夫妻に会いに蘭越町富丘へ。
及川肇さんはお兄さんのお兄さんだ。お兄さんは僕が高校生の時に個人的に英語を教えてもらっていた先生の旦那さんで、なぜかその時から「お兄さん」と呼んでいる。以来ずっとお世話になっている大好きな人だ。僕が高校生の時にお兄さんは30歳ぐらいだったからちょうど一回りぐらい年上ということで、今は50歳ぐらいか。僕ももうすでにあの頃のお兄さんの年齢よりも上になっていることを思うと不思議な感じがする。
そんなお兄さんのお兄さんが北海道で農業をはじめたという話を聞いたのもその頃だっただろうか。都会での生活をやめて、自ら選んで農家になったということに興味を持ちつつもこれまで一度もお会いする機会はなかった。
今回の北海道行きを決めたとき、是非会いに行きたいと思い、お兄さんに連絡を取ってつないでもらった。
もうこの辺りのはずなんだけど。富丘地区に入っていくと、ときどきすれ違う人の視線を感じるようになっていた。とはいっても嫌な感じは全然しない。観光客が通り抜けていくような場所ではないのだろう。単純に見慣れない車が通ったから見ているのだろうと思う。そういえば僕が以前住んだフィジーの山奥の村でもそうだった。顔見知りしかいないような土地に見知らぬ車が入ってくれば、「誰が乗っているんだ」とみんなでじろじろ見たものだった。それは悪意とか警戒心などでは全然なくて、単純な好奇心というか。自然なことだった。
いよいよたどり着けず、電話をかける。
「今、どの辺? まわりに何かある?」
どの辺と言われても、、 わからない。。
まわりには、、 何かあるというのか、ないというのか、、畑、畑、畑。。なにか目印、目印。
「ああ、家が2軒。。」
「どんな家?」
「壁が緑の、、」
「ああ、それなら少し戻って一本目を右に入って、しばらく走ったらトラクターが停まってる畑があるから。」
言われたとおりに進む。羊蹄山まで見渡せる開けた畑の間の一本道。道路わきからひょっこり羊でも出てきそうな気がしてくる。もちろんこの辺りで羊なんて飼っている人は誰もいないのだけれど。
前方に人影が見える。肇さんが道路に出てきて待っていてくれた。
takashi