茅ヶ崎、松尾建設で家を新築中の若いご夫婦からご指名をいただき、ダイニングテーブルとベンチを製作させていただくことになった。
茅ヶ崎という土地柄、松尾建設の建てる素材感を大切にした暖かい雰囲気の家に合わせて、素材そのものの持つ雰囲気を活かした、長く使い込むほどに味が出るような重厚なテーブルにしたかった。
どっしりとした厚めの天板。男性的な強さのあるオーク材で製作することにした。材料の良し悪しが全体の印象に大きく影響するデザイン。テーブル天板の材料選びには特に慎重になる。材料をしばらく眺めまわしてどれを天板用にするかを選ぶ。ようやく心が決まり、荒木の材料を削り始める。削り込むほどにうれしくなってきた。予想以上の木肌がでてきて思わず1人ニヤニヤしてしまう。いい材料を削っていくほどわくわくすることはない。いつまでも眺めていたくなるような暖かな雰囲気がある。職人の技術というのは本来、素材の魅力を見極め、それを最大限に引き出すだめの最小限の手、なのかなと思う。
引渡し直前、まだ主のいない家のダイニングに、完成したばかりのテーブルとベンチをそっと(こんなに大きなもの、なにも”そっと”じゃなくてもいいのだけれど、なんとなくそんな気持ちで)置いて帰る。


これから始まる物語の中で、この家とともに育っていってくれるといいと思う。
takashi