昆虫の季節

この間、近所で小カマキリを拾った。
小さいけれど完全なカマキリの形。首をくるくる回して警戒している。
うれしくなって工房に持ち帰る。
手のひらに乗せて、つぶさないように気をつけて、そうっと歩いて工房に着いた途端、逃げられた。




そういえば、2ヶ月程前にアレックスの畑の腐葉土からざくざく出てきたカブトムシの幼虫たちは今頃どうしているだろうか。そろそろさなぎになっている頃だろうか。もう一度掘り起こしてみたい衝動に駆られたけれど、やめた。




先日、田植えを終えた矢口さんが工房にやって来て、田んぼに蛍が飛び始めたことを教えてくれた。
工房の軒下には蜂が巣を作り始めている。
昆虫たちが活動的になる季節。楽しい気持ちになる。



今日は一日、現場で家具の取り付けをしてきた。夕方、外で休憩しているとカミキリムシの一種か、変なやつが僕のほうに近づいてきた。



威嚇のつもりなのか、背中にイスラム帽を被った埴輪みたいな顔が描いてある。人間から見れば全然恐くない。なんてのん気な姿だろう。それにしても不思議だ。何がこういう進化をさせるのか。
僕たちの日常のすぐ傍にこんな陽気な世界が広がっていると思うと笑えてくる。

takashi

春の風景

カサカサカサ、
ザッ、ザッ、ザッ

工房の前の竹やぶから聞こえる物音に耳を傾ける。
毎年、僕たちの工房に春の訪れを告げる心地よく乾いた音。
隣の小沢さんがタケノコを求めて藪の中に分け入る音だ。



表に出て声を掛ける。
「どうですか?」
「だめだな。。まだ早いな。」

毎年繰り返される全く同じ会話。
この感じが好きだ。なかなか採れないところも。


今日、小野路の友人のところに行った。山の中のとても気持ちのいい場所だ。
満開の桜が雨の後の湿った空気に包まれていた。
用事を済ませて帰ろうかというとき、タケノコがたくさん出ているから掘って行かないかという。
僕たちの工房のタケノコはまだ出ていないというのに。。
藪に入ると確かに、ざくざく掘れる。掘れる。



家に帰って灰汁抜き。早速筍ご飯と煮物にしていただいた。
小沢さんはまだありつけていない。このことは内緒にしておこう。

takashi

工房の床落ちる

僕はゲジゲジが割と好きだ。
大きく足を広げて壁に張り付くその姿は、見慣れない人にとっては気味の悪いものかもしれないけれど。
以前、僕の住んでいた海の近くの古い平屋は、ゲジゲジの多く出る家だった。玄関に、キッチンに、寝室にも。いつも、いる。
僕も最初は彼らに出会うとその姿にぎょっとして、仕留めなければと、戦う姿勢をとっていた。しかし、いくら僕が攻撃しても彼らは決して反撃しては来ず、ただただ逃げて回るだけだった。そのあまりに弱く、はかない姿にだんだんかわいそうな気持ちになり、攻撃することをやめ、共存していくことに決めた。
一度受け入れてしまえば何てことはない。その姿にもすぐに見慣れ、僕の座るすぐ横の壁にいようと、ベッドの脇にいようと、一つも気にならなくなった。

もちろん森に囲まれた僕の工房にもゲジゲジは多くいる。
冬の間ほとんど見かけなかった彼らに先日突然出くわした。それも一度にかなりの数に。
「お、こんなとこにいたのか。」
それは床板を剥がし、逆さになって床下に顔を突っ込んだときだった。

       

去年から一番大きな機械を置いている場所の床が落ちてきていることには気付いていた。日に日に下がってゆき、見た目ではっきりと大きく落ち窪んでいるのがわかるまでになった。そのうち抜けるのではないかとさすがにこわくなり、とりあえず機械は別の場所に移動して、早くへこんだ床を剥がして直さなければと思いつつも日々の忙しさに追われ、見てみぬふりをする日々が続いていた。
先日、さらに大きな機械を搬入することになりその前日、意を決して傷んだ床を剥がしてみた。

「あああ。。」

       

妻と2人で唖然とした。床下に土間をうっていないので湿気で大引が腐り、機械の重さで潰れていた。
もう日が暮れる時間だった。明日には大きな機械が入ってくる。なんとしても今日中に直さなければ。
ゲジゲジたちに会ったのはそんなときだった。床の裏にのん気に張り付いている彼らの姿になんだか穏やかな気持ちになった。

夜中の3時頃、ようやく大引、根太を新しいものに交換し、床板を張り戻した。明日機械を設置する予定の場所の床下は、見ていない。そうそう簡単に動かせる機械ではないけれど。まあ、なんとかなるか。

       

       

これから日に日に暖かくなってゆく。虫たちが動き始める季節。工房の床下もにぎやかになっていくのかなと、想像すると少し楽しくなる。

takashi

 

まる3年。

HALFMOON FURNITURE WORKSHOP をここ寺家に構えてから3年が経ちました。

本当に少しずつですが、私たちの目指す「対話をしながらのものづくり」をする機会も
増えてきました。
わたしたちに家具の製作を依頼してくれるお客様。
とても頼りになる材料屋さんや塗装屋さん。
色々な人たちの力が合わさり、ひとつひとつの家具ができ上がってきました。

忙しい日々が続くと、初心を忘れがちですが私たちが大切にする「ものづくり」を日々していけるよう
4年目も取り組んでいきたいと思います。





kumiko

 

日常

晴れた冬の日曜日。
花粉も飛び始め、北海道出身のわたしにとってはもう春のようだ。

3月にオープンするカフェの家具作りをしている。
そこのオープニングパーティで音楽演奏を頼まれた。数年振りにギターを手にしている。

          

集中しているのを邪魔するのもなんだし、私は午後、工房へ行くことにする。
来週いよいよ大きな木工機械が入ってくる。それの準備でまるで引っ越しのような状態を整理しに。

新たな機械が入ってくるのが楽しみだ。

kumiko




 

灯り

「あかり」
”光と影”がうみだす奥行がとても好き。
室内は少し暗いけれども窓の向こうに日本庭園が広がる南禅寺天授庵の風景。
幻想的な光の演出があったノマディック美術館。
光のあてる方向で様々な表情をだす「手漉き和紙」。
 
いまでも時々思い出す。
 
日々の生活の中に、どのような「あかり」をつくっていくか。
心地のよい「あかり」ってなんだ。
と考えたりします。日本の住宅事情ではどれだけ太陽の光を室内に入れるかが大切で
昔の日本建築のようにはいかないのが現状です。
 
そこで。
 
照明によって「あかり」をつくっていく。
必要なところに、必要な明るさを。
先日ペンダントライトを新たに設置し、わたしたちの小さな空間も少し心地よくなりました。
 
すぐに茶碗を洗うようになりました。
料理をし、毎日掃除をするようになりました。
 
そこが、「あかり」の影響によるものかはわかりませんが。。。
でも好きな家具を使うのと同じぐらい、どのような「あかり」を作るかは
心地よい時間を過ごすには大切だということを、日々の生活で感じています。

 
              
 
始めてのペンダントライト。これなしでは夕食は食べられませんっ。
 
次はスタンドライトを設置予定です。
いつか、HALFMOON オリジナル照明もつくりたいです。
 
kumiko

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。

年始に機械の入れ替え。
工房開設時に譲り受けた古い機械の一つ。なんとか使ってきたものの、いずれ入れ替えないととは思っていた。
昨年末、今年新たに設置予定の機械を探しているときに偶然出会ってしまった1台。急遽このタイミングで入れ替えることを決めた。





古い機械が運び出されていく様子を見ながら、初めてこの工房に機械を搬入したときのことを思い出していた。ただの倉庫が工房になっていく、わくわくする瞬間だった。その感覚を忘れずに、前に進んで行かなければ。

今年もどうぞよろしくお願い致します。

takashi

「寺家回廊」 ありがとうございました

今年も「寺家回廊」が無事終了致しました。
多くの方々と出会い、とても充実した時間を
過ごすことが出来ました。
お越しいただいた皆様、本当にありがとうございました。

引き続き、毎月第4日曜日には工房をオープンしていますので
是非お気軽にお立ち寄りください。

今後ともどうぞよろしくお願い致します。

HALF MOON FURNITURE WORKSHOP
小栗 崇/久美子

       ダイニングセット 椅子

LIFE IS DESIRE

 最近、長野の諏訪大社の近くにある建築家 藤森照信さんの茶室「高過庵」を見た。



藤森さんのねむの木こども美術館”どんぐり”も独特の雰囲気で、とっても好きな建物のひとつ。
この茶室、中に入れればよいのだけれど。。。危険らしい。。。


What do you want meaning for? Life is desire, not meaning.

人生は願望だ、意味じゃない。」
若く美しいバレリーナが足を怪我し踊れなくなり、もう生きている意味がないと言ったときの
チャップリンの言葉。

色々なことで行き詰まったとき、よくこの言葉を思い出す。

茶室もわざわざ木の上にある意味なんてないもんなぁ。。。

kumiko


上高地

想像を超えていた。
驚くほど神秘的な雰囲気の「大正池」。

4時間ほど歩く途中には、北アルプスの山脈が広がり、まったく濁りのない梓川、
河川林や湿原も広がり、どこを見ても色々な表情がある、まさに景勝地といわれるのに相応しい「上高地」。




お盆休みに訪れたこの地にすっかり魅了された私たち。
お薦めは早朝5時です。

kumiko



たっぷりと湿り気を含んだ森に差すやわらかな朝の光の中、前を行く人も神様に見える。

takashi