ものに宿るちから

今年、我が家に”探検家のおじさん”がやってきた。人形作家の高橋昭子さんの作品。

 

 

この出来事は、私の心に奥にズシンと、経験したことのない感覚を与えるものだった。大げさかもしれないが、今までもそしてこの先も多くは経験しない類のものだと思う。

 

 

人にはそれぞれ宝物がある。

 

それは遠い記憶だったり、音楽や本、家族だったり。。十人十色だと思う。
このおじさんはものではある(私にとっては"もの"ではないが)のだけれど、単なるものではない。おじさんは、わたしを日常世界から別の遠いどこかへ連れて行ってくれる。それは遠い記憶の世界なのか、どこかなのかは私にもわからない。ただ、この世はいつも楽しく輝いているわけではなく、曇って見えるときもある。そんなとき、ふとおじさんを見つめると、一瞬そんなことを忘れて別な世界へ行っているときがある。何かわからないパワーを得られるような気分。不思議だなぁって本当に思う。自分の心を揺すぶる音楽を聴いたときや本の世界へ引き込まれたときの感覚に似ているのかもしれない。

そのちからは本当にすごい。宝物、そんな言葉で表現するものでもないのかもしれない。

 

 

そんな不思議なちからをもったおじさんをつく出す作家さんに私はずっと魅了されっぱなしだ。

感性。

言葉で理解している以上に、おじさんとの出会いは私に「感性」というものを教えてくれた。

 

 

本当に色々なことをわたしのところにもってきてくれた”おじさん”。

 

今年は、とても大切な仲間ができた。

 

HOUSE PROJECT 2

 

HALFMOON FURNITUREが参加している家づくりプロジェクトは、いよいよ着工に向けて進んでいます。

 

オーダーの家具もそうですが、そこに住まうご家族らしい家になるよう、理想や好みなどを色々なお話を通じて感じ取り、具現化することを大切にしています。今は、間取りや外観も決まり、内装材を決めていく作業に取り掛かっています。住まうご家族の風景を思い浮かべながら色々なことを想像し、提案する資料を作ることは、とても楽しい作業です。

 

壁に塗装やクロスのサンプルをペタペタ貼って、朝や夜、晴れの日や曇りの日、何度も何度も見返します。ゆっくりと考えていると、あるとき「これだ」ってはっきりした答えがやってくる。時には直感も大切ですけどね。

 

私の母は無類のインテリア好きで、今思えば実家の間取りはちょっと変わっていたような気がします。

当たり前だと思っていた生活環境が、実はそうではないということは、色々な方が経験されていることだと思います。もちろん私もそうです。小さな子供にとって、育ってきた環境が一つの基準となり、その家で多くのことを感じ取り経験していくと思います。

今回の家の2階には吹き抜けの書斎があります。子供部屋の近くにあるこの書斎は、ご家族の第2のリビングとなり、子供たちが遊んだり、想像したり、色々なことを生み出す場になると思います。とても楽しみな空間です。

 

1/50模型

 

ありがたいことに、造作家具も多く設置させていただく予定です。

生活空間と家具が一致するものづくりをすることが、HALFMOON FURNITUREを始めたときの一つの目標でした。そして今回、家のプランニングから家具製作までの取り組みは、わたしたちにとって初めての経験であり、お客様をはじめ、施工を担当する松尾建設さんや色々な方のご協力のもとで進んでいるプロジェクトです。これから工事が始まっていきますが、普段家具を製作している立場として、また空間作りを提案する立場として、あくまで、住まうご家族のために丁寧に取り組んでいこうと思います。

 

 

kumiko

11月26日(日)工房OPEN致します

HALF MOON FURNITURE WORKSHOP
OPEN : 毎月第4日曜日 13:00〜17:00
 
今月も工房オープン致します。
家具のご相談や工房にご興味がある方は、是非お越しください。

お待ちしております。

 

※一部の展示品を現品販売しております。

すべて一点ものになりますので、ご興味のある方はお問い合わせください。

ナラ材壁面棚板

壁面棚 ナラ材

 

ほんのちょっとしたものだけれど、それがあることでものが生き生きとして、なんとなく楽しい気持ちになることがある。

今回、茅ヶ崎市のお客様からのご依頼で製作させていただいた壁面の棚板もお客様にとってそんな存在になってくれたと思う。

 

ものの素材そのものにどうしようもなく惹かれるというお客様のキッチンには、木や陶、ホーロー、鉄などで作られたポットや急須、器などお気に入りの道具たちが並んでいる。そんな道具たちの居場所を壁面に作りたいとのことから壁面に棚板を作らせていただくことになった。

棚板には特有の虎斑が出るナラの柾目材を使い、その素材を最大限に活かせるように仕上げていく。さらに鉄そのままの風合いを活かした転び止めを製作して取り付けた。

 

それ自体には複雑な構造も飾りもない、たった2枚の棚板。壁面に取り付け、ものを並べてみるとそのものたちの存在が際立ち、生き生きとして見えた。

後でお客様から聞いた話によると、取り付けを終えて僕が帰った後、棚にものを並べながら、うれしすぎて本当に小躍りしてしまったのだとか。

 

自然の素材に、その魅力を最大限に活かすための最小限の手を加える。それが空間の中でものの居場所をつくり、空間全体が生き生きとして、そこで過ごす時間が少し楽しいものになってくれたら。それはとても豊かなものづくりの形なのではないかと思う。

シンプルだけれど、とても印象深い製作になった。

 

takashi

 

 

キッチン収納 ナラ材

キッチン収納 ナラ

 

これまで既製品のラックを並べて使っていたキッチン背面の壁一面をリフォームされたいとのことで、カウンター収納と吊り収納製作のご依頼をいただいた。

 

下段のカウンター収納は向かいのキッチンと合わせた白、天板から上は全てナラ材で製作した。

下段には収納するものに合わせた寸法の引き出しを7杯、壁面にはオープンの棚板を2枚設置、さらに吊り収納の下にはスチールでラックを製作させていただいた。

 

取り付け初日、大工さんの山川さんと一緒に現場に入り、一度壁を剥がして下地を作り直して家具を取り付けていった。

 

キッチン収納 ナラ

 

後日、タイル屋さんが壁面にタイルを貼った後、壁面の棚板とスチールラックを取り付けて完成。

 

キッチン収納

 

リビングから正面に見えるキッチン裏の壁面をリフォームすることでリビング空間全体の雰囲気が大きく変わった。生活観に蓋をするための収納ではなく、あるべきものに然るべき居場所をつくるような家具になってくれたらいいと思う。

 

takashi

 

 

キッチン背面収納

キッチン収納 ウォールナット

W1800 x D450 x H850  ウォールナット材 ウレタンクリア塗装

 

磯子区のお客様からのご依頼で、マンションのキッチン背面にカウンター収納を製作させていただいた。

大まかなご要望を持ってご夫婦で工房にお越しいただいたところからスタートし、その内容を踏まえてデザイン案を作成。その後、材料やガラスサンプル、取手等、なるべくイメージが湧きやすいようにお見せできるものを準備して、より具体的な打ち合わせへと進んでいった。

 

何度かお会いしていくうちにお客様の好みや、どういう部分を大切にされているかが自然と理解できるようになってくる。それを僕たちの価値観とすり合わせながら、細部の寸法設定、木目の選び方、真鍮の仕上げ方など細かい部分を検討していくことで、この出会いの中でしか生まれ得ないものになっていく。

 

キッチン収納 ウォールナット

 

 

さらに、リビングにTVボードを自作されるとのことで、その板の製作を追加でご依頼頂いた。ウォールナットで統一されているインテリアに合わせつつもイメージが硬くなりすぎないように、節の有る少しワイルドな雰囲気のウォールナット無垢材で製作させていただいた。

 

節有りウォールナット

 

これからこの家具たちが日常の中で機能しながら、ご夫婦の生活に心地よく寄り添う存在になってくれたらいいなと思う。

 

takashi

 

HOUSE PROJECT 1

 

 

You can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. / 2005 steve jobs

 

 

今、私たちHALFMOON FURNITURE WORKSHOPが参加している家つくりのプロジェクトが進んでいます。今回はプランや外観のデザイン、内部の仕様や造作家具など、お客様が大切にする部分をヒアリングして建物の設計から家具の提案まで担当させていただいています。施工は茅ヶ崎の松尾建設さん。それぞれの立場でアイディアを出し合いながら、作り上げていく家づくりです。

 

私は高校生のときに、坂茂さんの紙の建築(ルワンダ難民キャンプのプロジェクト)や宮脇檀さんの住宅の考え方に興味を抱き、20代後半まで無我夢中で建築を勉強し、仕事をしていました。その中で、もっと作る現場を見たいという願望が強くなり、30代は家具製作を勉強、いまはHALFMOON FURNITUREとして独立し家具を作っています。

 

建築に興味を持ち始めてから約20年。

遠回りもしましたが、今回このような家つくりのプロジェクトの仕事ができることがとてもとても嬉しく、ありがたい気持ちで取り組ませて頂いています。人との出会いや繫がり、経験は目に見えない宝物ですね。。

 

建築だけをやっていた頃とは違う、色々な経験をしたことで見えてくることがあるという確かな実感があり、昔から頭の片隅にあったスティーブジョブスの言葉を思い出しました。点と点がしっかりとした線になるよう、今後も取り組んでいきます。

 

年明けには工事が始まる予定で計画は進んでいます。ブログにも経過を記載しますので、お楽しみに。

 

kumiko

10月の工房オープン日変更のお知らせ[ open:10/29(日) close:10/22(日) ]

毎月第4日曜日を工房オープン日としておりますが、

誠に勝手ながら、今月のオープン日は、10月29日(第5日曜日)に変更させていただきます。

こちらの都合で大変恐縮ですが、10月22日(第4日曜日)はお休みとなりますのでご了承下さい。

家具のご相談や打ち合わせをご希望の方は、事前にご予約いただければオープン日以外でも承りますので、お気軽にご連絡いただければと思います。

 

HALF MOON FURNITURE WORKSHOP
OPEN : 10月29日(日) 13:00〜17:00
 
家具のご相談や工房にご興味がある方は、是非お越しください。

お待ちしております。

 

※一部の展示品を現品販売しております。

すべて一点ものになりますので、ご興味のある方はお問い合わせください。

寺家回廊2017

寺家回廊2017    10/6(金)~9(月)10:30~17:00

http://www.jike-kairo.net/

 

わたしたちの工房がある寺家町には絵画・陶芸・版画・木工などの

工房やギャラリーが点在しています。

毎年開催される「寺家回廊」では、各作家のアトリエやギャラリーを

公開し作品の展示や販売、ワークショップなどを行います。

 

この寺家回廊にHALFMOON FURNITURE WORKSHOPも参加します。(10/7,8,9のみ)

里山の景色が広がるここ寺家の工房へ、この機会に是非お越しください。

期間中、HALFMOON FURNITURE WORKSHOPでは家具やスツール、小物の展示、販売をしています。

酒井俊/田中信正デュオ

先日、横浜の「上町63」に大好きなミュージシャン、酒井俊さんとピアニスト田中信正さんのデュオを聴きに行った。

俊さんのライブに行くのは3年ぶり。前回も「上町63」での田中さんとのデュオだった。これまでにもサックスの林栄一さんを入れてのトリオ編成やバンド編成など観てきているけれど、3年前に観た、わずか15人程度しか入れないこの小さなお店での田中さんとのデュオがすばらしかった。無駄なものがなにもない、声とピアノだけ。そして演奏する2人の姿。俊さんの創り出す世界を壊す要素が何一つない完璧な空間で、会場の小ささも何も感じないほどその世界に引き込まれた。

 

それ以来デュオでのライブを待ち続けてきた。約一ヶ月の全国ツアースケジュールの中でたった一日だけデュオの予定があるのを発見したのが数日前。しかも横浜で。何とか時間を作って行くことにした。

 

俊さんの表現力は、日本人として世界に誇れるものだと思う。それはトム・ウェイツやニーナ・シモンと並んでも引けを取らないレベルだと僕は思う。その世界観は映画的であり、落語的であり、風景が浮かぶ。

そして、その世界を完璧に音にできるピアニストは田中信正さんしかいないのではないかと思う。演奏技術の高さはもちろんだけれど、それだけなら他にも良いピアニストはたくさんいる。それ以上に音とその姿で世界を作り出す表現力を持つ稀有な存在だと思う。2人の繊細さがかみ合ったときの引き込まれる力がものすごい。

 

この日も俊さんの声と田中さんの出す音は相変わらず、息が合っているなんていう言い方がふさわしくないぐらい、全く同じ世界から鳴っていた。歌からピアノソロ、ピアノソロから歌がこんなにも一つの流れとしてつながっていく演奏は、2人が完全に同じ風景を描いているとしか思えないほどだった。

 

こういう小さなお店でこれほどすばらしいライブを観られることは幸せなことだと思う。だけど、これほどの才能のある人たちが、広く一般的には受け入れられていないのかと思うと複雑な気持ちにもなる。

 

takashi