ふと立ち止まり、
手を触れて、その物語に想いを馳せてみる。
その先にゆったりと広がるもう一つの世界。
そこはやわらかな木洩れ日で満たされていた。

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SHOW ROOM OPEN:毎月第4日曜日 13:00〜17:00
HALF MOON FURNITURE WORKSHOP (ハーフムーン ファニチャ ワークショップ)
横浜市青葉区寺家町にある家具工房。家具修理やオーダー家具を設計・製作しています。

大切なもの

ほんの小さな修理の仕事だった。

だからといってお客様の想いが小さいということでは全く無いのだと改めて感じられるとても印象深い経験だった。

 

修理のご相談をいただいたとき、製作が混んでいたため実際に手をつけられるのは数ヶ月先という状況だった。それでも思い入れのあるものだからできれば直して使いたい、とお持ちいただいたのは座面の籐が破れてしまった2脚の古いスツールだった。

どんな想いが詰まっているのだろうか。長年に亘って暮らしの中にいつもあって、色々な記憶を含みながら宝物になっていったのだろうと思う。

 

 

「歳が歳だから怖くて外にも出られないの。」とても不安げなご様子だった。

庭先でお渡しした2脚のスツールを濡れ縁に並べ、慈しむようにしばらく眺めて

「こんなにきれいになって。 見違えるようだわ。 しばらくは使わないで眺めていようかしら。 今日はうれしくて眠れないかもしれない。」

とても静かに、ゆっくりとした口調で独り言のようにそう言った。

うれしかった。自分の仕事に満足していただいたことにではなく、その価値観がとてもうれしかった。そういう方に出会うと、ものを作る人間として安心する。ものの価値ってそういうものだと強く思う。

 

takashi  

新たな生活のための家具たち

オーダー家具 椅子

 

世界中がコロナの渦の中。。。

犬の散歩と家具の製作をする日々。

出来るだけ落ち着いて世の中を見ながら日々変わり続けるものごとに対応していかなければいけないと思っています。

 

さて、3月に新築の住宅のための家具をいくつか納品しました。

リビングには作り付けのキャビネット収納、2階のホールにはデスクと本棚、奥様と旦那様にHALFMOON furnitureのオリジナルの椅子を一脚ずつ。ご主人はこれから自宅で仕事をする機会も増えるという話があり、2階のホールには家族が使える書斎が希望とのことで、2階の空間にとても重きを置いていました。

 

ご家族には小さな娘さんがいらっしゃり、これから生活スタイルもどんどん変化していくことを想像し出来るだけシンプルに無垢材を基調とした家具をそれぞれご提案させて頂きました。お客様自身も新しい場所での生活を想像しながら、何度かの打ち合わせを経て具体的な家具のプランが出来上がった。

 

TVボード ウォールナット

 

オーダー家具

リビングの3.5mの壁に設置されたウォールナット無垢材のキャビネット収納

 

2階の家具はアメリカンチェリー無垢材で製作。配置を変えて楽しめるような寸法と機能になっています。

書斎 無垢デスク

 

書斎デスク

 

これから始まる新しい場所での生活の中で、家具たちがやさしい雰囲気でそっと日常を豊かにしてくれる存在になっていけばいいと思います。

 

kumiko

 

チェリー材の丸テーブル

 

丸テーブル チェリー

 

お客様ご家族と実際にお会いしたのは、納品にお伺いした時が初めてだった。

それにもかかわらず、こんなにもお客様ご家族の存在を感じながら製作できたのは初めての感覚だった。

 

新築のご自宅に丸テーブルを探していたところ、以前ブログで紹介していたチェリー材の丸テーブルをご覧いただいたとのことで、茨城県水戸市からお問い合わせをいただいた。

遠方からのお問い合わせだったため、打ち合わせ段階ではお会いすることができず、メールでのやりとりで詳細を詰めていった。

そんなやりとりの中で、とても嬉しいメールをいただいた。そこにはご家族全員の写真とそれぞれの紹介文が記載され、製作にあたってご家族のことを少だけ想い浮かべて欲しいとの内容が書かれていた。

それは僕たちがものを作る上で何よりも大切にしていることだ。もちろん姿形の美しいものを作ることは作り手として一生追求し続けなければならないとても大切なことだ。けれど一方で、そんなことは最終的にはさほど重要なことではないのではないかとも思う。

気に入ったものを持つということは、何度も読み返せるお気に入りの本を持つようなもののような気がする。その中にどんな風景を想像できるのか。それは極めて個人的な風景で良い。そうなった時にそのものは、何にも変えられない唯一無二の存在になるのだと思う。

 

 

 

 

 

丸テーブル チェリー

 

takashi

工房OPEN一時お休みについて

毎月第4日曜日を工房OPEN日としておりますが

よりゆったりとしたスペースでhalf moonの家具を体感していただくために

展示スペースを拡大、リニューアル致します。

新しい展示スペース準備のため、今月からしばらくの間毎月の工房OPENをお休みさせていただきます。

 

家具に関するご相談、打ち合わせ等ご希望の方はこれまで通り、

事前にご連絡をいただければいつでもお越しいただき、

打ち合わせできますのでお気軽にご連絡いただければ幸いです。

 

mail: halfmoon.f2012@gmail.com

tel: 045-532-8164

 

今後ともどうぞよろしくお願い致します。

 

 

1月26日(日)工房OPEN致します

HALF MOON FURNITURE WORKSHOP

OPEN : 毎月第4日曜日 13:00〜17:00

 

今月も工房オープン致します。

小さなスペースですがオリジナル家具の展示をご覧いただけます。

家具のご相談や工房にご興味のある方は、お気軽にお立ち寄りください。

 

お待ちしております。

 

※一部の展示品を現品販売しております。

すべて一点ものになりますので、ご興味のある方はお問い合わせください。

12月の工房オープン日変更のお知らせ[ open:12/29(日) close:12/22(日) ]

毎月第4日曜日を工房オープン日としておりますが、

誠に勝手ながら、今月のオープン日は、12月29日(第5日曜日)に変更させていただきます。

こちらの都合で大変恐縮ですが、12月22日(第4日曜日)はお休みとなりますのでご了承下さい。

家具のご相談や打ち合わせをご希望の方は、事前にご予約いただければオープン日以外でも承りますので、お気軽にご連絡いただければ幸いです。

 

HALF MOON FURNITURE WORKSHOP
OPEN : 12月29日(日) 13:00〜17:00
 
家具のご相談や工房にご興味がある方は、是非お越しください。

お待ちしております。

 

※一部の展示品を現品販売しております。

すべて一点ものになりますので、ご興味のある方はお問い合わせください。

11月24日(日)工房OPEN致します。

HALF MOON FURNITURE WORKSHOP

OPEN : 毎月第4日曜日 13:00〜17:00

 

今月も工房オープン致します。

小さなスペースですがオリジナル家具の展示をご覧いただけます。

家具のご相談や工房にご興味のある方は、お気軽にお立ち寄りください。

 

お待ちしております。

 

※一部の展示品を現品販売しております。

すべて一点ものになりますので、ご興味のある方はお問い合わせください。

レケティからの電話

メッセンジャーでビデオ通話の着信があった。レケティのナイオからだった。そういえば今日はラグビーフィジー代表が日本で試合をしている日だったか。

メッセンジャーにこんなこんな機能があったことをはじめて知った。ずいぶん世界が近くなったものだ。僕が住んでいた頃、レケティには電気が通っていなかった。発展途上国のそんな地域でもvodafoneがジャングルの中にアンテナをたくさん立てて、島中のほとんどの場所で携帯電話は使えるようになっていた。電気がないから充電の問題はあったけれど、通話機能しかなくあまりバッテリーを消耗しない小型のnokiaを使っていたので、発電機かソーラーでときどき充電してさえいればそれで充分だった。あれから8年、今ではレケティにも電気が通ったと聞いている。スマートフォンも急速に普及しているようで、インスタグラムやフェイスブックで多くの友人たちの現況をリアルタイムで知ることができるようになった。

 

予想通りナイオたちは、ラジオでラグビーの中継を聞きながらカバを飲んでいた。真っ暗なポーチで、ランタンの灯りひとつで地べたに座ってカバのボールを囲む光景があの頃と何一つ変わっていなかった。今はレケティにも電気が通っているはずなのに。

カバに酔うと光がとても鬱陶しくなる。心も体もどろんと地面に吸い込まれるような感覚で、話すのも面倒になる。酔いが回るにつれてランタンの光さえまぶしくなってどんどん火を小さくしてゆく。最後には蝋燭の火よりも小さく絞ったかすかな火を囲んで目を閉じてただ座っている。時折誰からともなくかかる「タロ」という低い掛け声を合図にカバを混ぜる水の音が響き、順番に回ってくるボールを飲み干してまた目を閉じる。何人もの大男たちが真っ暗闇で何時間もただ黙って目を閉じている。そんなことが毎晩、僕の家で夜中まで続いていた。それがレケティの日常だった。僕はそんな時間を結構気に入っていた。

 

 

あれは何時だったのだろうか。真夜中だったのか、朝方だったのか。一番最後に帰って行ったのがフランクとナイオだったことは覚えているけれど、そのあとどうやってベッドに入ったのかも覚えていない。開けっ放しの窓から差す朝の光で目が覚めたとき、まだ体にはカバが残っていてずっしりと重たかった。僕の家の裏のパパイヤの実がちょうど熟していたのを思い出して朝ごはんにちょうど良いと思って裏口を開ける。昨日まで間違いなくついていた4つの果実のうちオレンジ色に熟しているものだけが無くなっていた。また取られた。僕のパパイヤをいつも狙っているのは裏隣の家に住んでいるナイオだった。昨日の夜、帰りに採っていったに違いない。ここでは勝手に生えてきた植物でも、それは一番近くの家の住人に属すと考えられ、断りなしに取っていくことはタブーとされていた。だからそのパパイヤは明らかに僕のだし、裏口付近の地面に生えていたパクチーや唐辛子、表の椰子の木とナスも僕のということになっていた。それなのにナイオは僕のパパイヤを「俺たちのパパイヤ」と呼んで、いつも僕が採ろうと思っている直前(熟してから僕が採るまでの間)に勝手に採っていった。

その日はどうしても食べたかったので、ナイオの家に取り返しに行くことにした。どうせまだ寝ているだろうから起こしてやろうと。予想に反してナイオはもう起きて朝ごはんのロティを焼いていた。

「おはよう。中に入って朝ごはんを食べていけよ。」

あたたかい紅茶を淹れてくれて、焼きたてのロティと熟したパパイヤを半分。

そうそう、これ。でも、と思う。

ナイオには奥さんと子供が4人いる。僕がパパイヤを半分食べれば残りの半分を6人で分けることになる。まあ、そもそも僕のパパイヤなんだから別に良いはずなんだけど、、

「これは子供たちにあげてよ。」

いざとなると遠慮する僕に

「そんなこと気にするな。食べろ食べろ。」

と聞かない。

しばらくナイオと昨夜のカバの話をして過ごす。あれはムンドゥの畑で採れたカバで、レケティ産のカバの中でも特に強いものだとか、隣村からやってきた長身のパトゥが一番最初に潰れて逃げ帰ったこととか、フランクは相変わらず強かったとか(ここではカバに強いほど尊敬された)、いつもと何一つ変わらないどうでもいいような話題で2人で大笑いしていた。冷静に考えれば何にもおもしろいことなんてないのに、不思議ととても幸福な朝の時間だった。

取られたパパイヤを取り返しに来たことも忘れ、気がつけばそれ以上にご馳走になって、すっかりくつろいでいた。

 

電話越しのナイオのなつかしい声に思い出されるのは、特別なことは何も起こらない、日々繰り返されるなんでもない日常の風景だった。そして、そんな日々がこの8年間変わらずに繰り返されてきて、これからもきっとそうだろうことに安心する。

 

takashi

 

 

 

10月27日(日)工房OPEN致します。

HALF MOON FURNITURE WORKSHOP

OPEN : 毎月第4日曜日 13:00〜17:00

 

今月も工房オープン致します。

小さなスペースですがオリジナル家具の展示をご覧いただけます。

家具のご相談や工房にご興味のある方は、お気軽にお立ち寄りください。

 

お待ちしております。

 

※一部の展示品を現品販売しております。

すべて一点ものになりますので、ご興味のある方はお問い合わせください。

TVボードとローテーブル

TVボード ナラ材

TVボード ナラ無垢材+本革

 

家具の製作を何度かご依頼頂いたお客様を通じて知り合った方から、TVボードとローテーブルを作ってもらいたいとのお話を頂いた。一度工房へお越しいただき展示してある家具や工房内の材料を見ながら、どのような雰囲気の家具にするか、どのような機能が必要かを雑談を交えながら大まかなことをお伺いし、こちらで具体的なプランをすることとなった。お客様はまだ若い方で現在はお住まいが賃貸のため、これから先様々な使い方ができる家具になるようサイズや仕様を考えつつプランを進めた。TVボードに関しては、節あのあるワイルドなナラ材を機能を満たしつつ、綺麗に見えるディテールと全体のバランスを考えるのにずいぶん時間を要した。

 

TVボード ナラ材

 

上の左右は引き出し、真ん中はAV機器が入るようにし、下側は本を入れる仕様で間仕切りは本革とした。引き出しのつまみも同じく黒の本革で製作。

 

TVボード ナラ材

 

TVボード ナラ材

 

ローテーブルは脚を鉄とし、天板は節あり無垢材で製作。

TVボード ナラ材

 

わたしがお客様と同じぐらいの年齢のとき、当時のわたしにとっては高価だったガラスのキャビネットを初めて購入したことをちょうど思い出した。お気に入りの家具に好きな本や小物を飾ったりし、生活が楽しくなったことを覚えている。何度か引越しもしたが、移動した場所場所での過ごした時間や風景、そのときの記憶が家具と共に蘇ってくる。建築家の堀部安嗣さんが「建築が人の記憶を継承するものになること」これも建築の大きな役割だと思うと本で書いていますが、わたしが経験したように家具もその役割を持つものになると思う。

 

これから先、移動もするであろうこの家具たちがお客様と共に過ごした時間や風景を継承するものになり、日々の生活が楽しめるものの一つになっていくことを想像すると、製作した身としてとても嬉しい。

 

kumiko