作家の椅子 1

とても大切なものをお預かりした。

その作家さんがこの椅子を使い始めたのは50年も前のことだそうだ。お父様から贈られた
という子供用の勉強机と椅子。子供のころから使い続けてきたその机と椅子で、今も文章を
書き続けている。
さすがに古くなった椅子は、何度か別のものに換えてはみたけれど、どうも馴染まなかったという。
長年にわたる物語の中で確固たる居場所を築いてきたものには、どんなものにも取って代わる
ことのできない本当の価値があるのだと思う。

とはいっても、このまま使い続けるのももう限界ということで、この古い椅子をモデルに
座面の大きさ、高さを少し変更して新しいものを作ることになった。
古い椅子も一度分解、修理し、座面の布地を張り替えてお返しすることにした。



古い椅子の寸法、角度をもとに原寸図をおこし、強度を考慮して構造を見直す。
製作は順調に進み、組み立てまでが終了した。



このあと、座面と背の布地の張りが出来上がってくるのを待ちつつ、全体の仕上げ、塗装をしてゆく。

takashi