ナラ材ダイニングセット

ナラ ダイニングセット

dining table:1500 x 850 x h700 ナラ オイルフィニッシュ  01 chair : ナラ オイルフィニッシュ 本革張り

 

最初にお問い合わせの電話をいただいたときのことを印象深く覚えている。

去年の初夏、数日の休みを取って北海道蘭越町の及川農園を訪ねていた。

及川一家とのとても素敵な夜を過ごした翌朝、みんなで畑を見て回っていた時、僕の携帯電話が鳴った。それは工房からの転送電話だった。羊蹄山の見える広大な畑の中で、ダイニングテーブルに関するお問い合わせ。頭と体のいる場所がちぐはぐで、何を話したかもほとんど覚えていない。ただ、なんとなく長いお付き合いになるような予感がしていた。最後にお伺いしたお客様のお名前と電話番号を、メモを取る紙もペンもないまま、畑の真ん中で必死に反芻して記憶したことだけはよく覚えている。(幸いその記憶は正しかった。)

 

それから2ヵ月後の工房オープン日にふらりとご夫婦で工房にお越しいただき、初めてお会いすることになった。もともとはご自宅マンションを全面リフォームするにあたり、ダイニングを中心とした家具を探していたところ、たまたま雑誌で見かけたhalf moonのキッチンスツールが気になってお問い合わせをいただいたとのことだった。最初は、奥様に「連れてこられただけ」という風情だったご主人が、展示品の01チェアに座って、オリジナルのダイニングテーブルに着き、しばらく話していると突然「気に入った」と一言仰っていただいたのがとても嬉しく、印象的な瞬間だった。

後日、お客様のマンションにお伺いしてテーブルサイズ、樹種等を最終決定し、ダイニングテーブル、01チェア2脚、ベンチ、キッチンスツール2脚をナラ材で製作させていただくことになった。

 

お会いするたびにお2人のこだわりの強さが伝わってきた。作りにも興味を持たれており、製作中にもお2人で工房にお越しいただいた。電車移動のお二人、駅まで迎えに行きますよ、とは言ったものの、僕のボロボロのワーゲンバスに3人で横並びで乗っていただくことになることだけが申し訳ないなと少し気がかりだった。でも、そんな心配をよそに、それはそれで結構楽しんでいただけたようだった。ちょっと日常を離れて、変な車に乗って畑道を走り、竹林に囲まれた小さな工房へ。椅子の笠木が削られていくところを見て、まだ形になる前のダイニングテーブルに触れる一日。そんなこともこの家具たちを通して時々思い出す一つの風景になってくれればと思う。

 

手作り家具

 

手作り家具

 

手作り家具

 

ナラ ダイニングセット

 

納品後、奥様からこんなご報告をいただいた。夜、仕事から帰宅すると、いつもは自分の部屋にいる大学生の娘さんがダイニングにいたという。とても素敵な話だと思う。この仕事をやっていて良かったと心から思える瞬間だった。

 

引き続きソファ製作のご依頼をいただいている。こちらも独立された息子さんへの想いから始まったお話。製作がとても楽しみだ。

 

takashi