庭に書庫のある家 母屋リフォーム

庭に書庫のある家、母屋リフォーム工事に伴い造作家具の製作を担当させていただいた。

2年前の書庫の新築工事に引き続き、設計は植本計画デザイン一級建築士事務所。設計段階の打ち合わせから参加させていただき、お施主様のご要望、設計の意図、施工会社、家具製作それぞれの立場からの意見をお話ししてのスタートとなった。
                                                            
家具工事として今回担当させていただいたのは、キッチン、リビング壁面本棚、玄関収納、レコード棚、勝手口収納。お施主様がお住まいのままの工事だったので、まずはキッチンまわりから仕上げることとなり、大工さんが古いキッチンを解体し、新しく壁を立てたりという建築工事と同時進行で新しいキッチンと吊り収納の製作は始まった。壁ができた後に実測の上、製作という場合と違い、現場の大工さんと家具製作がコミュニケーションをとりながら、同じ目的を持って進まなければ綺麗に収めることはできない。その意味では今までにも何度か一緒に仕事をしている現場監督の戸谷さん、大工の菊地さんにとても助けられた。製作途中にも度々現場に行っては、戸谷さんや菊池さんと打ち合わせをしながら、壁の位置や厚みを出来上がってきた家具の寸法に合わせて調整してもらったり、家具の寸法、収め方を現場の寸法に合わせて変更したり。現場と工房、それぞれの場所で同じ方向に向かって進めることができた。
                                                             
オーダーキッチン
                                                            
オーダーキッチン
                                                            
古いキッチンとは形、配置も変わり、新しいものはL型。天板は真っ白の人造大理石、本体は奥様のご要望から青の塗装仕上げ、両面使いの部分のお部屋側は壁と合わせたシナ材で製作した。上部は全て開き戸の収納。
                                                            
リビング壁面には、真向かいの庭に見えるガラス張りの書庫との対比がわくわくするような、壁一面の大きな本棚。扉は部屋の壁からの流れがつながるように床から高さいっぱいまでのシナの扉が8枚。壁とのつながりを大切にするためにハンドルをつけず、プッシュオープンとした。
                                                            
壁面本棚
                                                            
壁面本棚
                                                            
玄関には長さ4mを超える収納。
                                                            
オーダー下駄箱 玄関収納
                                                            
ワークスペースにはLPレコードのサイズに合わせた吊り収納。ここからも向かいには庭の書庫が見えている。
                                                            
吊り収納
                                                            
最後に勝手口収納。床から天井まで一杯の高さで収納量を確保しつつ、勝手口からの動線を妨げないように台形で製作した。
                                                            
勝手口収納
                                                            
勝手口収納
                                                            
建築と家具、そして庭の書庫、全てが一体となり、お施主様ご夫婦の特徴あるライフスタイルにぴったりと合った住空間に仕上がったと思う。これからキッチンに食器や調味料、調理器具が置かれ、本棚には本やCDがびっしりと入り、LPレコードが並ぶ。リビングにはご夫婦と小さな犬が行き来し、大きな窓の外には庭の書庫の本が見えている。建築も家具も綺麗に仕上がった瞬間が完成ではなく、物が入り、生活の場になって始めて生きてくるものだと思う。2年以上かけてゆっくり作り上げられてきたこの家のそんな姿を想像するととてもわくわくする。
                                                           
takashi