特注家具の依頼を受けたとき、そのお客様の雰囲気や空間に合う樹種や形をとことん考え提案する。
わたしたちは2人で家具を製作しているので、アイディアに関してもお互い意見を出し合い、その中で使って頂くお客様に一番合っていると思うものご提案させていただく。
今年の2月。新居に置く”コンソール”を探していると言うことで、ご夫婦が工房に来られた。まだ建物は建設中のため、平面図や床の材料、建具のデザインを写真で見せていただき、お客様の好みを考慮しつつ、配置する場所に合う樹種や形状をご提案させて頂いた。
樹種はアメリカンチェリー材。時間と共に色が濃くなる、柔らかい雰囲気の樹種。
シンプルな形状でありつつ、曲線や材料の厚みのメリハリをつけることで、チェリー材の魅力を引き出せる家具になるように検討した。
玄関ホールに設置されたコンソールは、お客様の真鍮の置き時計ともよく馴染んでいた。
コンソールテーブルを気に入って頂き、ダイニングに置く”キャビネット”の製作のご依頼も頂いた。
2階のダイニングは濃い茶色の家具で統一されていて、落ち着いた雰囲気。
その雰囲気に馴染むよう、キャビネットはウォールナット材で、シンプルさの中に少しレトロな印象が感じられるような家具になるよう、細かい納まりも念入りに検討した。
A4サイズのものが入るよう、下段は開き戸。上段は2段にしたいというのがお客様のご希望。ご要望を考慮し、お客様のダイニングに合うよう上のスケッチのような家具を提案させて頂いた。
つまみはどのような形状や素材・樹種が合うか、最後まで悩んだ。
より表情がでるよう樹種を”ローズウッド材”とした。
まるでそこにあったかのように、お客様の日常に溶け込んでいけばいいなぁと思う。
kumiko