BlueDOOR coffee たまプラーザ店

ブルードア

わたしたちの工房から少し歩いたところに、とても雰囲気のいい小屋がある。

自家焙煎コーヒー店「BlueDOOR coffee」。

BlueDOOR coffee 2号店をたまプラーザでオープンしたく、全体のお店つくりを同じ寺家町でものづくりをしているHALFMOON FURNITUREにお願いしたい、というお話しをある日いただいた。ここ「寺家町」は里山が広がる田園風景が今も残っている地域で、同じ場所に工房を構えている私たちに声を掛けていただいたことがとても嬉しく、お話しを受けてお店つくりがスタートした。

BlueDOOR coffeeの店主と話をしていく中で、お店全体を「素材の質」を生かした仕上げとした。具体的にはカウンターなどの家具は無垢材、壁は漆喰、椅子の座面は本革、アクセントに真鍮。どれも経年変化で味わいが出てくる魅力的で深みのある素材だ。今の流行にとらわれない、質の高いものをシンプルに取り入れる、取り繕うことのないストレートな素材の使い方を好んだBlueDOORの店主。本質を追うBlueDOORの考え方が、少しでもお店の内装で表現できればと思いながら具体的なプランを進めていった。

たまプラーザのお店はオープンなキッチンスペースにカウンター席があるシンプルな構成。オープンキッチンの顔となる吊収納はワイルドな節があるウォールナット無垢材で製作。そして各カウンターの天板は節ありナラ無垢材で作り、それぞれワイルドな木目生かしつつ品のある家具になるよう仕上げていった。

bluedoorcoffee

客席カウンター側の壁一面には漆喰の表情が出るよう蝋燭を灯す燭台のようなイメージで照明を配置し、台座はお店全体の雰囲気に馴染むようデザインし製作した。そして、お客様が座るスツールはできる限りコンパクトにしつつ、座り心地のよい形を追求した。空間全体を考えながら、一つ一つ詳細を考え製作する作業は緊張感がありつつ、楽しい日々となった。

カウンタースツール 照明

出来上がったお店はとてもシンプルですが、こだわった一つ一つの要素が関連し合い、素材のもつ力のお陰でなんとも落ち着いた雰囲気の空間になったと思います。

先日、お店に伺ったら照明スタンドや植物、古いワイン樽をリメイクして作られたテーブルなどがバランスよく配置され、古いものと新しいものが融合したBlueDOOR coffeeらしい色のあるお店になっていた。

作り手がお客様に合うようシンプルに作り、それにお客様が色を添えていく。

家具や住宅、そしてお店を作り上げていく一つの理想の形だと思った。  kumiko

「BlueDOOR coffee たまプラーザ店」

神奈川県横浜市青葉区美しが丘2丁目17−12

HP : bluedoorcoffee360.com

ソファ

ソファ ミナペルホネン

ソファ ナラ材 W1800xD800xSH380

以前、ダイニングセットを製作させていただいた際にご相談いただいていたソファが完成した。

ダイニングセットは、ご自宅マンションをリフォームされたタイミングで製作させていただいた。リフォームの際、すでに独立されていた息子さんの部屋をつぶしてしまい、時々帰って来ても寝る場所がなくなってしまったため、リビングのソファは、ベッドとしても使えるフラットな座面のものにしたいとのご要望だった。

ダイニングセットと合わせたナラ無垢材のフレームのベンチ型で提案させていただいた。ソファはクッション部分の面積が大きいため、使う生地によって印象が大きく左右される。リビング空間の中にしっくりと馴染みながらも、特徴的な存在にしたかった。

お客様ご夫婦と一緒にショールームにも出かけ、実際の生地を見て触って、ミナペルホネンのタンバリンで製作することに決めた。

完成したソファを設置すると、広々として明るいリビングに落ち着きが生まれた。ミナペルホネンの生地が品の良い色味と質感を持ち、独特の存在感を放っていた。

ソファ ミナペルホネン ソファ ミナペルホネン ソファ ミナペルホネン

コーヒーを淹れていただき、いろいろなお話をしながら過ごす時間がとても居心地良く、この日もすっかり長居してしまった。

takashi

イージーチェア、カウンターテーブル

チーク材の床に松の板貼りの壁、使い込んだテーブルや椅子が置かれたダイニング空間は午後の光に満たされ、部屋中に並べられた蘭の株の緑が柔らかな色彩を放ち、心地よく落ち着いた時間が流れていた。

長年暮らしてきた家をリフォームされるタイミングでご依頼いただいた家具たちもそれぞれの居場所を与えられ、今までとこれからをつないでいるようだった。

お二人暮らし用にコンパクトにリフォームして、リビングとつながりのあるオープンな空間となったキッチンには、カウンターテーブルを製作させていただいた。ここで食事をすることも多くなるとのことで、天板にはこれまでデスクとして使ってきた思い入れのあるウェンジの一枚板を再利用したいとのご要望があり、その板に合わせて製作することになった。本体には床材と合わせてチーク材を使い、リビング側は奥行の浅い飾り棚とし、キッチン側には引き出しと開き扉を設けた両面使いの収納として製作した。合わせてご依頼いただいたhalf moonオリジナルのキッチンスツールがカウンター越しに向かい合わせで置かれている。

キッチンスツール

それぞれ黒と茶の革張りで製作させていただいたご夫婦のためのイージーチェアは、ご主人のこだわりのオーディオセットの正面に並んで置かれていた。夕食の後、庭から積んできたハーブのお茶を淹れて音楽をかけながら、ここでそれぞれ好きな本を読んで過ごす時間はどんなだろう。時折ぽつりぽつりと言葉を交わしながらゆるやかに流れる時間を想像してみる。

イージーチェア イージーチェア

ものづくりの先にはいつも様々な風景が広がっている。

takashi

キッチンカウンター

キッチンカウンター

先日、新築のご自宅にキッチンカウンターと収納を納品しました。

寒い冬が終わり春が来たころ、一通のメールを頂いたことがこのお客様との出会いです。

これから家を建て始めるところで、キッチンのカウンターを探してるとのこと。リビングダイニングのメインの場所で、内装の雰囲気にあったものをご希望。ただ、家全体のこともあり予算は限られているとのことでした。

丁度そのとき、葉山の住宅の設計と家具の製作をしていたころで、よく住空間と家具について考えいる時期でした。建築との兼ね合いで家具まで予算がいかないことが多いですが、経年変化も楽しめる、木の持つ魅力を感じてほしいなと思っていました。

メールでのやりとりの後、実際に工房にお越しいただき、雑談を交えながらこれから始まる自宅のことなど楽しくお話させて頂きました。木のもつ温もりやその佇まいを感じて頂け、お客様の大切にするところを私たちも十分に理解しながら、何度か打ち合わせを重ね、製作へと進むことになりました。

床材や壁の内装と合うよう、ナラの節あり材を使ったキッチンカウンターをご提案させて頂き、キッチン側は予算のことも考慮し、既製のラックなどを収納できる寸法としました。

無垢の木材は、同じ樹種でも一つして同じ色、同じ木目のものはありません。

シンプルな無垢板のカウンターですが、その自然の木目の存在感、佇まいは美しいものだと思います。

木目や表情の生かし方も、作り手それぞれの個性となる部分でもあります。

リビング側の収納

今回の打ち合わせの中で、ご夫婦共に木に触れたときの心地よさを大切にし、ウレタン塗装ではなくオイル仕上げを選択されたときの、お二人のやりとりや表情がなんだか印象的でした。木の触り心地、大切ですね。

kumiko

HOUSE PROJECT -家具・建具について

オーダー家具 HALFMOON

今回設計を担当した葉山の家は、キッチンや洗面、建具、ダイニングセットもデザイン製作させて頂きました。

リビングダイニングで過ごすことが多いご家族にとって、心地よい空間とは何かを問いながら、機能的なことも考慮し一つ一つご提案しました。お客様の好みの雰囲気は白を基調とし、濃い茶色を家具にというモダンな雰囲気がご希望。

私たちがいつも大切にしている、「使う人たちの生活に寄り添いながら、古くなったときも味わい深くなる家具。」という考えとお客様のご希望のイメージを汲み取りながら、全体のバランスを考えデザインと製作させていただきました。

建築の要素ー床や壁の素材、照明と家具ーダイニングテーブルや椅子、TVボード、そして建具やキッチンが統一されたことで、シンプルさの中に心地よく飽きのこない空間になったと思います。今回メインで使用したウォールナットや楢の無垢材が時間と共により味わいのある表情になっていくのも、無垢材の楽しみでもあります。

HALFMOON

キッチンの背面収納は使いやすい引き出しとし、一番上はトレーとして使えるように製作しています。

キッチンは壁と同色のグレー。引き手が直線で繋がるようにしました。

洗面はボールが2つあり、収納付きミラーの上下は間接照明を設置。

オーダー家具 HALFMOON

リビングに面した和室の建具は、ウォールナットの無垢材とワーロン紙で製作。

ダイニングセット

HALFMOON FURNITUREの定番のダイニングセット (ウォールナット無垢材 L1800xD850xH700)

設計スタートから完成まで約1年のプロジェクト。

お客様ご家族がこちらからの提案をいつも笑顔で快く受け入れてくれ、出来上がっていく空間をとても楽しみにしてくれて、私たちも気持ちよく製作へと進むことがきました。また、いつもとは違う手間のかかることも共に考え作り上げてくれた職人さんたち。そして、様々なことに本当に心よく対応してくださった松尾建設の青木社長。

ここに住まうご家族、職人さんたち、そして松尾建設青木社長、色々な方の協力のもと作り上げた完全オリジナルの家が完成。

これから、このご家族の生活が始まっていくことを想像するととても楽しみです。

kumiko

HOUSE PROJECT -家全体について

HALFMOON

昨年から携わっていた住宅が7月はじめに完成しました。

今回の家づくりでは、私たちHALFMOON FURNITUREが家全体の設計から、建築に付随する建具やキッチン・洗面台・各収納からTVボード、ダイニングテーブル、椅子の置き家具まで、デザインから製作まで担当させていただきました。

場所は葉山。今回の敷地は3方向家がある旗竿地。お客様のご要望は、車を2台並列駐車、リビングは1階、できる限り広いLDにしたいとのことでした。これらのことを考慮すると、南側に採光が期待できるほど建物をバックさせられないため、南東方向より光を取り入れるプランニングになるよう心がけました。さらに光が1階のダイニング側にも届くよう、階段上に天窓を設け間接光が入るようにしています。とても明るい階段となり、リビングに視線も抜けて、気持ちの良い空間になりました。

家づくり 家具

1階はLDKと水廻り、和室があり、全体がつながっているプランです。玄関からリビングへ、水廻りからダイニングへ、ゆるく遮りながら、視線は抜ける通路があります。また、空間の広がりを感じられるようリビングやキッチン・和室にいるときの視線向こう側の景色を意識し、心地よく生活できるよう間取りはもちろん、家具や建具の素材の使い方を工夫しています。

HALFMOON

1階LDK  縦格子の向こうは和室

HALFMOON

(左)玄関からリビングへ (右)水廻りからダイニングへ 

2階は寝室と子供部屋、書斎です。お子様たちそれぞれが色を添えていければと思い、最低限の機能を満たしシンプルな部屋にしています。家全体のプランは各部屋が東を向くシンプルな構成ですが、吹き抜けやバルコニーなどの建築に関わる部分や、間仕切り部分にもガラスを利用するなどの工夫で、上下の階や各部屋がプライバシーを保ちつつも繋がった空間になっています。

HALFMOON

(左)2階廊下 右側には2.5階の書斎 (右)階段の吹き抜け部分を利用した書斎/書斎下は収納

建築と家具、それぞれの素材が統一されることで、質の高い心地よい空間になったと思います。

今回は家の空間について、次はキッチンなどの水廻りや家具・建具についてブログでご紹介させていただきます。

kumiko

掘り炬燵、ローテーブル製作

掘りごたつ ローテーブル

東側の大きな掃き出しの窓を開け放って庭の枝垂れ梅を眺めていた。時折、小鳥たちが飛んできて、しばらく羽を休め、また飛び立ってゆく。この家を立てる前からそこにあったという枝垂れ梅。この家の設計士はこんな眺めを想像して、ここに和室を作ったんだなということがよくわかる。

こんなにいい部屋だったのかと改めて思う。部屋そのものが良いのはわかっていただけれど、部屋に中心ができることで、ゆったりと居座ることができるようになった。これまでにも何度もこの部屋には来ていたのに味わったことのない感覚だった。

ご家族で麻雀をはじめたとのことで、和室に長時間座っていられるように堀り炬燵をつくりたいとのご相談をいただいた。

当初お客様は、和室の床を一部抜き、堀り炬燵にしてそこに自動麻雀卓を置くことを検討されていた。

でも、

と思った。この家に自動麻雀卓は絶対に似合わない。

HALF MOON設立の年に出会って以来、まるで親戚のように応援していただき、お付き合いさせてもらっているお客様。ものに対する、生活に対するこだわりの強さをよく知っている。自動麻雀卓には反対した。

もちろん、作り手のエゴで家具を提案すべきではないと常々考えている。もしこれがあくまでも麻雀中心のお話であれば、それはそれで尊重すべきだと思う。だけど、この家の生活にはどう考えてもそれは似つかわしくないと思えた。

結局、床を抜いての掘りこたつ工事と合わせて、ローテーブルも製作させていただくことになった。

障子を開け放つとダイニングからもつながる和室。すっきりとした、シルエットの綺麗なローテーブルが似合うと思った。

掘りごたつ ローテーブル

掘り炬燵を作って以来、麻雀だけでなく、和室で過ごす時間が多くなったという。この家を建てて5年が過ぎ、これまであまり使ってこなかった和室を楽しんでいるという。家具が入ることでその部屋がより良く生きてくれたら、それは理想的なあり方だと思う。

takashi

ナラ材ダイニングセット

ナラ ダイニングセット

dining table:1500 x 850 x h700 ナラ オイルフィニッシュ  01 chair : ナラ オイルフィニッシュ 本革張り

最初にお問い合わせの電話をいただいたときのことを印象深く覚えている。

去年の初夏、数日の休みを取って北海道蘭越町の及川農園を訪ねていた。

及川一家とのとても素敵な夜を過ごした翌朝、みんなで畑を見て回っていた時、僕の携帯電話が鳴った。それは工房からの転送電話だった。羊蹄山の見える広大な畑の中で、ダイニングテーブルに関するお問い合わせ。頭と体のいる場所がちぐはぐで、何を話したかもほとんど覚えていない。ただ、なんとなく長いお付き合いになるような予感がしていた。最後にお伺いしたお客様のお名前と電話番号を、メモを取る紙もペンもないまま、畑の真ん中で必死に反芻して記憶したことだけはよく覚えている。(幸いその記憶は正しかった。)

それから2ヵ月後の工房オープン日にふらりとご夫婦で工房にお越しいただき、初めてお会いすることになった。もともとはご自宅マンションを全面リフォームするにあたり、ダイニングを中心とした家具を探していたところ、たまたま雑誌で見かけたhalf moonのキッチンスツールが気になってお問い合わせをいただいたとのことだった。最初は、奥様に「連れてこられただけ」という風情だったご主人が、展示品の01チェアに座って、オリジナルのダイニングテーブルに着き、しばらく話していると突然「気に入った」と一言仰っていただいたのがとても嬉しく、印象的な瞬間だった。

後日、お客様のマンションにお伺いしてテーブルサイズ、樹種等を最終決定し、ダイニングテーブル、01チェア2脚、ベンチ、キッチンスツール2脚をナラ材で製作させていただくことになった。

お会いするたびにお2人のこだわりの強さが伝わってきた。作りにも興味を持たれており、製作中にもお2人で工房にお越しいただいた。電車移動のお二人、駅まで迎えに行きますよ、とは言ったものの、僕のボロボロのワーゲンバスに3人で横並びで乗っていただくことになることだけが申し訳ないなと少し気がかりだった。でも、そんな心配をよそに、それはそれで結構楽しんでいただけたようだった。ちょっと日常を離れて、変な車に乗って畑道を走り、竹林に囲まれた小さな工房へ。椅子の笠木が削られていくところを見て、まだ形になる前のダイニングテーブルに触れる一日。そんなこともこの家具たちを通して時々思い出す一つの風景になってくれればと思う。

手作り家具 手作り家具 手作り家具 ナラ ダイニングセット

納品後、奥様からこんなご報告をいただいた。夜、仕事から帰宅すると、いつもは自分の部屋にいる大学生の娘さんがダイニングにいたという。とても素敵な話だと思う。この仕事をやっていて良かったと心から思える瞬間だった。

引き続きソファ製作のご依頼をいただいている。こちらも独立された息子さんへの想いから始まったお話。製作がとても楽しみだ。

takashi

HOUSE PROJECT 上棟編

HALFMOON FURNITUREが設計デザインを担当している家が先日上棟致しました。

何もなかった土地に新たに家を建てること、そしてここから住まうご家族の生活がスタートすることを想像するだけでワクワクする、晴れ晴れしい気持ちになります。

昨年の夏にここの土地を見て、敷地の特性について考えたこと、ご家族の大切にすることをヒアリングして形にしていったことが今、職人さんの手で実物の形になりました。そして、この箱がこれから機能を持ち始めます。

今回の家づくりは家具や建具から、手摺や窓枠などの建築に付随する細かな部分までデザインし製作させていただきます。

先日、設計と家具製作を担当する立場として、担当の大工さんともじっくりと打ち合わせをさせて頂きました。家づくりは普段の家具作りとは異なり、色々な職人さんとの連携が大切になります。

いつも私たちがものづくりで大切にしている「対話」を今回も大切にし、それぞれの立場から意見を出し合い、チームとしての家づくりをしていきたいと思っています。

これからいよいよ家具作りもスタートです。

一つ一つを丁寧に、取り組んでいきます。わたしたちも完成がとても楽しみです。

kumiko

HOUSE PROJECT 2

HALFMOON FURNITUREが参加している家づくりプロジェクトは、いよいよ着工に向けて進んでいます。

オーダーの家具もそうですが、そこに住まうご家族らしい家になるよう、理想や好みなどを色々なお話を通じて感じ取り、具現化することを大切にしています。今は、間取りや外観も決まり、内装材を決めていく作業に取り掛かっています。住まうご家族の風景を思い浮かべながら色々なことを想像し、提案する資料を作ることは、とても楽しい作業です。

壁に塗装やクロスのサンプルをペタペタ貼って、朝や夜、晴れの日や曇りの日、何度も何度も見返します。ゆっくりと考えていると、あるとき「これだ」ってはっきりした答えがやってくる。時には直感も大切ですけどね。

私の母は無類のインテリア好きで、今思えば実家の間取りはちょっと変わっていたような気がします。

当たり前だと思っていた生活環境が、実はそうではないということは、色々な方が経験されていることだと思います。もちろん私もそうです。小さな子供にとって、育ってきた環境が一つの基準となり、その家で多くのことを感じ取り経験していくと思います。

今回の家の2階には吹き抜けの書斎があります。子供部屋の近くにあるこの書斎は、ご家族の第2のリビングとなり、子供たちが遊んだり、想像したり、色々なことを生み出す場になると思います。とても楽しみな空間です。

1/50模型

ありがたいことに、造作家具も多く設置させていただく予定です。

生活空間と家具が一致するものづくりをすることが、HALFMOON FURNITUREを始めたときの一つの目標でした。そして今回、家のプランニングから家具製作までの取り組みは、わたしたちにとって初めての経験であり、お客様をはじめ、施工を担当する松尾建設さんや色々な方のご協力のもとで進んでいるプロジェクトです。これから工事が始まっていきますが、普段家具を製作している立場として、また空間作りを提案する立場として、あくまで、住まうご家族のために丁寧に取り組んでいこうと思います。

kumiko

ナラ材壁面棚板

壁面棚 ナラ材

ほんのちょっとしたものだけれど、それがあることでものが生き生きとして、なんとなく楽しい気持ちになることがある。

今回、茅ヶ崎市のお客様からのご依頼で製作させていただいた壁面の棚板もお客様にとってそんな存在になってくれたと思う。

ものの素材そのものにどうしようもなく惹かれるというお客様のキッチンには、木や陶、ホーロー、鉄などで作られたポットや急須、器などお気に入りの道具たちが並んでいる。そんな道具たちの居場所を壁面に作りたいとのことから壁面に棚板を作らせていただくことになった。

棚板には特有の虎斑が出るナラの柾目材を使い、その素材を最大限に活かせるように仕上げていく。さらに鉄そのままの風合いを活かした転び止めを製作して取り付けた。

それ自体には複雑な構造も飾りもない、たった2枚の棚板。壁面に取り付け、ものを並べてみるとそのものたちの存在が際立ち、生き生きとして見えた。

後でお客様から聞いた話によると、取り付けを終えて僕が帰った後、棚にものを並べながら、うれしすぎて本当に小躍りしてしまったのだとか。

自然の素材に、その魅力を最大限に活かすための最小限の手を加える。それが空間の中でものの居場所をつくり、空間全体が生き生きとして、そこで過ごす時間が少し楽しいものになってくれたら。それはとても豊かなものづくりの形なのではないかと思う。

シンプルだけれど、とても印象深い製作になった。

takashi

キッチン収納 ナラ材

キッチン収納 ナラ

これまで既製品のラックを並べて使っていたキッチン背面の壁一面をリフォームされたいとのことで、カウンター収納と吊り収納製作のご依頼をいただいた。

下段のカウンター収納は向かいのキッチンと合わせた白、天板から上は全てナラ材で製作した。

下段には収納するものに合わせた寸法の引き出しを7杯、壁面にはオープンの棚板を2枚設置、さらに吊り収納の下にはスチールでラックを製作させていただいた。

取り付け初日、大工さんの山川さんと一緒に現場に入り、一度壁を剥がして下地を作り直して家具を取り付けていった。

キッチン収納 ナラ

後日、タイル屋さんが壁面にタイルを貼った後、壁面の棚板とスチールラックを取り付けて完成。

キッチン収納

リビングから正面に見えるキッチン裏の壁面をリフォームすることでリビング空間全体の雰囲気が大きく変わった。生活観に蓋をするための収納ではなく、あるべきものに然るべき居場所をつくるような家具になってくれたらいいと思う。

takashi