あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。

年始に機械の入れ替え。
工房開設時に譲り受けた古い機械の一つ。なんとか使ってきたものの、いずれ入れ替えないととは思っていた。

昨年末、今年新たに設置予定の機械を探しているときに偶然出会ってしまった1台。急遽このタイミングで入れ替えることを決めた。

古い機械が運び出されていく様子を見ながら、初めてこの工房に機械を搬入したときのことを思い出していた。ただの倉庫が工房になっていく、わくわくする瞬間だった。その感覚を忘れずに、前に進んで行かなければ。

今年もどうぞよろしくお願い致します。

takashi

庭に面した長いテーブル

通常テーブルというと、ダイニングテーブルとして利用することが多いですが、
今回オーダー頂いたのは、庭に面したリビングの窓辺に置く長いテーブルというご注文でした。
 
長さ2180mm 奥行390mm のサイズ。
なかなか既製のものでは見つからず、オーダーを検討しているとのことで、
お客様のイメージを具体化し、脚のデザインや寸法、天板と脚との関係など何度か
打ち合わせをさせて頂き、製作へと進んでいきました。
 
芝生がある広いお庭に面した窓の下に設置されたテーブルは、秋晴れの太陽の日を浴び
とても伸び伸びとしているように感じられました。
kumiko
 

壁面収納

窓の外に広がる逗子の海では多くのウィンドサーファーたちが風を受けていた。近所の高校のヨット部員たちらしき姿も見える。砂浜には週末の日差しを楽しむ人たちがたくさん出ていた。
青葉区に工房を構える前、しばらくこの近くに住んでいたこともあり、僕にとっても馴染み深い秋の風景だった。家具を搬入、取り付けをしている間もなんだかとても心地よく、落ち着いた気持ちで作業を進められた。

その海岸沿いのマンションに住まわれるご夫婦から壁面収納製作のご相談をいただいたとき、以前住んでいた場所からあまりに近いことに驚いたと同時に、わくわくするうれしさがあった。
お客様のご要望は、リビングの壁面に巾約2.4m、高さは天井まで一杯、約2mの収納を作りたいとのことだった。
工房での最初の打ち合わせの後、ラフプランを作成し、お客様のマンションのリビングを実際に見させていただきながら、使用する材料、収納するものの寸法、コンセントからの配線経路、使い勝手等打ち合わせを重ね詳細を詰めていった。
オーク壁面収納
オーク壁面収納
海の見えるリビングにオーク材の壁面収納。無垢板の重厚感と深い温かみがなんとも心地よい。これから日常の風景の一部になっていく家具。季節とともに移り変わっていく窓の外の風景とも調和してくれたらいいと思う。
takashi

打ち合わせテーブル

去年の十月からはじめた月に一度の工房オープン日。
初めてのお客様が来てくれたときのことを今でも時々思い出す。

工房の展示スペースを整え、家具を配置して、あまり埃の立たない作業をしていた。
日曜日の午前、機械を回さずに音楽を聴きながら静かに作業するのも心地良いものだ。
しばらくして工房の前に車が停まる音を聞いて妻と顔を見合わせた。
「誰か来た。」
「どうしよう。」
オープンと謳っておいて「どうしよう」というのもおかしな話だけれど、こんな寺家町の一番奥の工房を目指してお客様が来てくれるということがうれしいと同時に、どこか信じがたく、こちらのほうがどぎまぎしてしまったことを覚えている。
少しの時間だったけれど、この日のために益子で買ってきた器でお茶を飲みながら、家具の話やアーミッシュの話などして過ごした。
それから数ヵ月後、そのお客様から仕事場の打ち合わせテーブル製作のご相談をいただいた。木の天板にスチールの脚という大まかなイメージから天板の樹種、サイズ、形状、脚の構造等、打ち合わせを重ねて詳細を詰めていった。
打ち合わせテーブル
打ち合わせテーブル
打ち合わせテーブル
お客様との対話があってこそ生まれた形。シャープさと柔らかさが共存するテーブルに仕上がった。
takashi

「寺家回廊」 ありがとうございました

今年も「寺家回廊」が無事終了致しました。
多くの方々と出会い、とても充実した時間を
過ごすことが出来ました。
お越しいただいた皆様、本当にありがとうございました。
引き続き、毎月第4日曜日には工房をオープンしていますので
是非お気軽にお立ち寄りください。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。
HALF MOON FURNITURE WORKSHOP
小栗 崇/久美子
       ダイニングセット 椅子

キッチン・ダイニングの間仕切り家具

居心地のよさとかゆったりとした時間の流れというのは、空間の広さと比例している訳ではないと思う。以前、中村好文さんの展覧会へ行ったときにもそんなことを思った。
今年に入り、リビングとキッチンを間仕切る家具のご注文を頂いた。
このお客様のご自宅も、そんなことを感じさせる空間だった。家具の配置がバランスよく、色合いも落ち着いていて、とても心地よい時間が流れていた。
キッチン側は家電や食器を収納するための必要寸法を守りつつ、リビング側は飾るスペースを設けた間仕切り家具。お客様のご要望を考慮しつつ、縦のラインの間に、素材の違う箱(本革やガラス、木)がぽこぽこあり、箱の一部が飾るスペースとなっているデザインの家具をご提案させて頂いた。樹種はお客様のご希望で落ち着いた雰囲気のウォールナット材を使用した。

両面使いの家具のため、一つ一つの加工の際、寸法ミスなどがないよういつも以上に、何度も図面で確認しながらの製作となった。家具を製作する場合、一番最初に行うのが「木取り」という工程。無垢の場合でも突板合板の場合も、まずどの部分を家具のどこに使うかを考え、ある程度の寸法に材料を切っていく。木には木目があるので、この工程は家具の表情にかなり影響する。
わたしたちがお客様に直接合い、色々とお話をするようにしているが、「木取り」作業をする際、お客様との雑談がとても役に立つ。このお客様だったら、この木目かなぁ。と、考えながら木取りをしてく。どの家具も製作中は、何度もご依頼頂いているお客様の顔を思い浮かべる。
今回は、あまりワイルドにならないよう、節のある部分は見えない場所に使用するなど、できるだけご依頼いただいたお客様の雰囲気に合うように木目の配置をした。
ご主人のご希望でもあった一番の特等席(リビング側の右上)には”CD”が配置され、奥様がセンス良くものを飾って、(もちろん家電や食器も納まり)始めて家具として機能するのだろう。リサラーソンの陶器のライオンくんはいま頃どこにいるのかなぁ、なんて想像したりする。
納品が終わり、ご主人が「今年の楽しみが終わっちゃいました」と。。。
わたしにとっても、今年最大の製作が終わっちゃいました(まだ、3ヶ月ありますが。。。)
kumiko

チェリー 丸テーブル

こんなにも自然で、効果的に空間になじんでくれたことにうれしくなった。
5歳の元気な娘さんはテーブルの周りを回ったり、下をくぐったり。設置した瞬間にこのご家族にこのテーブルで本当によかったと安心した。

チェリー丸テーブル
Yチェアがきれいに格納できる丸テーブル。そんなご相談が始まりだった。デザイン的にはシンプルで、すっきりとした四本脚のものにした。天板の木口は板厚が薄く、シャープに見えるよう斜めに落とす。その角度をYチェアのアーム角度と合わせ、椅子ができるだけ奥まで収められるようにした。
材料は、手触りがとても好きだというお客様のご意見からチェリー材を選んだ。樹種を選ぶ際、他の家具と色味を合わせることを優先して決定することが多い。確かに同じデザインのものでも材の色味によってものの印象は大きく左右される。同じように手触りというのもそれぞれの樹種ごとに個性があり、特に手作りの無垢の家具において、それは大きな魅力の一つだと思う。手触りを最優先に樹種を決定していただいたことがうれしく、何度も触っては木肌を確かめながらの製作となった。
丸テーブル
納品の後、ご家族と一緒に真新しいテーブルを囲んで少し早めの夕食をご馳走になった。しゃべりっぱなしの元気な娘さんがとてもかわいい、暖かい雰囲気の食卓に僕たちもすっかりリラックスしていた。

これから多くの時間をここで過ごすご家族の日常の暖かな風景の一部であり続けてくれるといいと思う。
takashi
 

コンソール、キャビネット製作

特注家具の依頼を受けたとき、そのお客様の雰囲気や空間に合う樹種や形をとことん考え提案する。

わたしたちは2人で家具を製作しているので、アイディアに関してもお互い意見を出し合い、その中で使って頂くお客様に一番合っていると思うものご提案させていただく。
今年の2月。新居に置く”コンソール”を探していると言うことで、ご夫婦が工房に来られた。まだ建物は建設中のため、平面図や床の材料、建具のデザインを写真で見せていただき、お客様の好みを考慮しつつ、配置する場所に合う樹種や形状をご提案させて頂いた。
樹種はアメリカンチェリー材。時間と共に色が濃くなる、柔らかい雰囲気の樹種。
シンプルな形状でありつつ、曲線や材料の厚みのメリハリをつけることで、チェリー材の魅力を引き出せる家具になるように検討した。
玄関ホールに設置されたコンソールは、お客様の真鍮の置き時計ともよく馴染んでいた。
コンソールテーブルを気に入って頂き、ダイニングに置く”キャビネット”の製作のご依頼も頂いた。
2階のダイニングは濃い茶色の家具で統一されていて、落ち着いた雰囲気。
その雰囲気に馴染むよう、キャビネットはウォールナット材で、シンプルさの中に少しレトロな印象が感じられるような家具になるよう、細かい納まりも念入りに検討した。
A4サイズのものが入るよう、下段は開き戸。上段は2段にしたいというのがお客様のご希望。ご要望を考慮し、お客様のダイニングに合うよう上のスケッチのような家具を提案させて頂いた。
つまみはどのような形状や素材・樹種が合うか、最後まで悩んだ。
より表情がでるよう樹種を”ローズウッド材”とした。
まるでそこにあったかのように、お客様の日常に溶け込んでいけばいいなぁと思う。
kumiko

LIFE IS DESIRE

 最近、長野の諏訪大社の近くにある建築家 藤森照信さんの茶室「高過庵」を見た。




藤森さんのねむの木こども美術館”どんぐり”も独特の雰囲気で、とっても好きな建物のひとつ。
この茶室、中に入れればよいのだけれど。。。危険らしい。。。
What do you want meaning for? Life is desire, not meaning.

人生は願望だ、意味じゃない。」
若く美しいバレリーナが足を怪我し踊れなくなり、もう生きている意味がないと言ったときの
チャップリンの言葉。

色々なことで行き詰まったとき、よくこの言葉を思い出す。
茶室もわざわざ木の上にある意味なんてないもんなぁ。。。
kumiko

上高地

想像を超えていた。

驚くほど神秘的な雰囲気の「大正池」。
4時間ほど歩く途中には、北アルプスの山脈が広がり、まったく濁りのない梓川、
河川林や湿原も広がり、どこを見ても色々な表情がある、まさに景勝地といわれるのに相応しい「上高地」。
お盆休みに訪れたこの地にすっかり魅了された私たち。
お薦めは早朝5時です。
kumiko
たっぷりと湿り気を含んだ森に差すやわらかな朝の光の中、前を行く人も神様に見える。
takashi

アクセルペダル

先日、アクセルペダルの根元が折れた。正確には床とアクセルペダルの後ろ端をジョイントしている丁番のような金物が折れてペダルがぶらぶらになった。普通、アクセルペダルが折れるなんてことは誰も想定していない。だけど僕の車ではそんなことも起こるらしい。

アクセルを踏み込もうと思ったとき、ペダルが右側に倒れてペカペカして吹かせない。手でペダルを起こしてよく見てみると、ペダルの後ろ端を床に固定している金物の左右二点のジョイント部分の左側が折れていた。完成間近の家具を塗装屋さんに持っていく途中だった。
しょうがない、このまま行くしかないか。
ためしに脚でペダルの先を持ち上げながら、折れていない右側のジョイント部分を支点に左側に踏み込んでみる。
おお、なんとか吹けるじゃないか。
なんとも不自然だけれどしょうがない。
30分も走っているとすっかり慣れてきた。修理しないでこのままでもいいんじゃないかとさえ思えてきた。(もちろんいいはずはない。)

無事塗装屋さんに家具を渡して、工房に帰る。三角窓からの風が本当に気持ちいい。毎日暑いけど、そのピークはすでに過ぎたように感じる。

工房に戻ると早速ペダルをばらして、折れたパーツを取り外し、溶接。ちょうど鉄ものの製作をしていたところだった。溶接したパーツを取り付け、ペダルを戻す。なんとか大丈夫そうだ。よかったよかった。
次はどんなことが起こるのだろうか。
今から、長野に向けて出発する。何も起こらないことを祈りつつ。。役に立ちそうも無い木工用の道具箱は一応積んだ。
takashi

オーク ダイニングテーブル

茅ヶ崎、松尾建設で家を新築中の若いご夫婦からご指名をいただき、ダイニングテーブルとベンチを製作させていただくことになった。

茅ヶ崎という土地柄、松尾建設の建てる素材感を大切にした暖かい雰囲気の家に合わせて、素材そのものの持つ雰囲気を活かした、長く使い込むほどに味が出るような重厚なテーブルにしたかった。
どっしりとした厚めの天板。男性的な強さのあるオーク材で製作することにした。材料の良し悪しが全体の印象に大きく影響するデザイン。テーブル天板の材料選びには特に慎重になる。材料をしばらく眺めまわしてどれを天板用にするかを選ぶ。ようやく心が決まり、荒木の材料を削り始める。削り込むほどにうれしくなってきた。予想以上の木肌がでてきて思わず1人ニヤニヤしてしまう。いい材料を削っていくほどわくわくすることはない。いつまでも眺めていたくなるような暖かな雰囲気がある。職人の技術というのは本来、素材の魅力を見極め、それを最大限に引き出すだめの最小限の手、なのかなと思う。
引渡し直前、まだ主のいない家のダイニングに、完成したばかりのテーブルとベンチをそっと(こんなに大きなもの、なにも”そっと”じゃなくてもいいのだけれど、なんとなくそんな気持ちで)置いて帰る。
オークダイニングテーブル
オークダイニングテーブル
これから始まる物語の中で、この家とともに育っていってくれるといいと思う。
takashi