
数年前に家具を製作したお客様よりソファのご相談を頂きました。
ソファといっても『犬(キュラちゃん)と過ごすためのソファ』を作ってほしいとのことでした。
通常(一般的にある)のソファでも犬と過ごすことはできるけれど、今回オーダーで製作するのには理由がありました。保護犬を数年前から飼われていて、先天的に膝が悪く、通常のソファの高さだと下りたときに膝を脱臼してしまうとのこと。そのため高さの低いソファをご希望されていました。キュラちゃんが上り下りしやすい高さや一緒に過ごすための広さは確保しつつ、ご家族のライフスタイルにも合うようにデザインを進めていきました。
具体的には、樹種はリビングの他の家具に合わせた ”メープル材” 。
背のシルエットは台形をイメージされていたので、背が綺麗に見えるような台形型。
ゆくゆくはソファを2つに分け、大きめの底座椅子として使えるように分割できるような仕様。
完成したソファをお届けしたとき、警戒心の強いキュラちゃんは最初は姿を現すことはなかったけれど、しばらくしてご主人に抱えられて怖がりながらも私たちの前に出てきてくれました。私たちの前では怖がっていたキュラちゃんですが、一緒に連れてきていたうちの犬(木の子)とはすぐに打ち解け、みんなで近くの栗林まで散歩に行きました。

数日後、奥様よりメールをいただきました。
「ソファ、初日より大活躍しています。
キュラはソファにやってきては身体を伸ばしてくつろいだり、おもちゃを持ってきて遊んだり、夜は母と一緒にベッドとして寝ています。奥行きたっぷり取ってよかったです。」
納品後は、キュラちゃんがソファで過ごせているのか心配していたので、このメールを頂きホッとしました。
人の生活は時間の経過やいろいろな環境の影響で変化し続けると思います。
先のことを考え過ぎるとより複雑になりがちですが、今ある日常を大切にし、ポジティブな発想でご依頼いただいたソファはもの作りの可能性を再認識することができました。
ご家族とキュラちゃんとの日常がソファがあることでより豊かになってくれると嬉しいです。
kumiko