春の風景

カサカサカサ、
ザッ、ザッ、ザッ
工房の前の竹やぶから聞こえる物音に耳を傾ける。
毎年、僕たちの工房に春の訪れを告げる心地よく乾いた音。
隣の小沢さんがタケノコを求めて藪の中に分け入る音だ。

表に出て声を掛ける。
「どうですか?」
「だめだな。。まだ早いな。」
毎年繰り返される全く同じ会話。
この感じが好きだ。なかなか採れないところも。
今日、小野路の友人のところに行った。山の中のとても気持ちのいい場所だ。
満開の桜が雨の後の湿った空気に包まれていた。
用事を済ませて帰ろうかというとき、タケノコがたくさん出ているから掘って行かないかという。
僕たちの工房のタケノコはまだ出ていないというのに。。
藪に入ると確かに、ざくざく掘れる。掘れる。

家に帰って灰汁抜き。早速筍ご飯と煮物にしていただいた。
小沢さんはまだありつけていない。このことは内緒にしておこう。
takashi