半月

 Michel Camiloの”LUIZA”が終わったところで音楽を止めると、

すっかり日の暮れた窓の外からウシガエルの太く低い声が一層大きく響いてきた。

あの体のどこでこんな声を響かせているのだろう。
工房の戸締まりをして外に出ると、目の前を二匹のタヌキが横切り、
向いの竹やぶの中に駆け込んで行った。
池の上の空には、うっすらと雲に覆われた半月の柔らかな光が広がっている。
深く、静かな夜の始まりだった。
僕は少しためらいながらバイクのエンジンをかけ、家路についた。
takashi